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山口広:被害者を守り統一教会と闘って35年 利用し、利用される関係の安倍元首相

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今や、新聞もテレビも、統一教会(世界平和統一家庭連合)を取り上げない日はないほど、統一教会批判が展開されるようになりました。「国民の生命財産、幸せな暮らしを守り抜くことは、政治の責任」とは安倍元首相や自民党の口癖ですが、政府・自民党は口癖とは真逆の統一教会には依然として甘い態度です。全国霊感商法対策弁護士連絡会の代表世話人でもある山口広弁護士に、統一教会による被害やその手口、政治家との関係などについて話をききました。〈文責・星英雄〉

私は宗教を大事に思っています。しかし、長年、被害者救済のため統一教会と闘ってきて、宗教をカネ儲けの手段として利用する統一教会は許せません。

人の心のスキに食い込んで、カネを巻き上げるのが統一教会です。人間だれしも、不幸や不安はあると思いますが、そこにつけ込むのです。

手口は先祖の因縁を利用します。人間は死んだ後、肉体は土にかえるが心は霊界で永遠に暮らすための準備期間。人間の地上の生活は霊界で永遠に暮らすための準備期間だ、という教えを叩き込むのです。

宗教を利用したカネ集め

先祖は数えきれないほどたくさんいるわけです。霊界は天国、中間霊界、地獄と3層に分かれていて、先祖は怨念を抱えて死んでいってるから、永遠に地獄で苦しむというのです。あまりに苦しいので先祖が地上界の子孫に救いを求めていると、不安をあおるのです。

相手のいろんな不幸をほじくり返し、それをどうにかしないといけないと説得して離さないんです。自分は恋愛で悩んでいるとか、弟はだらしがないとか、子どもが不登校だとか、夫が不倫したとか、夫婦仲が悪いとか、就職がうまくいかないとか。誰にでもよくあることですが、このままではもっと悪くなるし、死後はあなたも先祖と同じように地獄で永遠に苦しむようになります、とじんわりと迫るのです。

〈山口広弁護士〉

その上、毎週1回、ビデオセンターに連れて行って画像を見せて、霊界があることを実感させるのです。先祖が地獄で苦しみ、助けを求めていると。

さらに霊能師役は「お祈りしたら、神様が3つの数字をいいました」というのです。例えば、4500、3600、2100、と。被害者に自ら選ばせるように仕向けてから、こうやってカネを巻き上げるのです。

なんで引っかかるんだといえば、拒否できなくなるように追い込まれてしまう。被害にあう人たちは優しく、家族思い。向上心もある人が多い。

その被害者がやがて信者となって、加害者としてふるまうようになるのが統一教会です。

文鮮明の言葉を集めた『天聖経』という統一教会の本があります。1冊430万円も信者は払わなければならないというのだから、驚くべきことです。しかし、ここに書かれていることが金集めの根本にある考え方です。

日本は資金と人材の供給源と文鮮明

『天聖経』のなかに、文鮮明のこういう言葉があります。「韓半島は何かといえば、男でいえば生殖器です」「島国は女性の陰部と同じです」「日本はすべての物質を収集して、本然の夫であるアダム国家、韓国に捧げなければならないのです」

要するに、日本は資金と人材を供給する義務があると言っているのです。日本国民からカネを巻き上げるのは、「教義」として当然のことなのです。その教義は、日本に対する恨みがしみついたコリアン民族主義に彩られています。

日本国民の被害は、全国霊感商法対策弁護士連絡会が受け付けた相談の被害総額は約1237億円と計算していますが、ごくごく一部に過ぎません。はじめは霊感商法で信者以外に壷や印鑑を売りつけ、最近は先祖の解怨のための献金と称して信者から法外なカネを巻き上げるのが、統一教会です。

私は、人権に反することを平気でやってのける統一教会はカルト集団だと思っていますが、同時に統一教会はカネ集め集団だと思っています。宗教をカネ集めの道具に使っていることは許せません。

統一教会は、人を勧誘する活動とカネを集める活動の2つが車の両輪です。

統一教会はさまざまな関連企業を有していますが、4つの事業体からできています。経済活動をする部隊、政治活動をする部隊、言論活動をする部隊、その他の4つの組織です。たくさんある関連組織は実質一体なのです。

統一教会は宗教活動、 ハッピーワールドをはじめとする経済活動の部隊は、統一教会が集めたカネで韓国、日本、アメリカで事業活動をしているのです。ほとんど全てのカネは日本の統一教会が日本国民から巻き上げたカネです。

統一教会は新聞社も保有しています。日本では「世界日報」はたいしたメディアではありませんが、アメリカのワシントン・タイムズは歴代共和党大統領の愛読紙です。

〈文鮮明の言葉を集めた『天聖経』の表紙コピー=山口広弁護士提供〉

年間100億円以上の赤字ですが、穴埋めには日本国民から巻き上げたカネが利用されています。

私は全国霊感商法対策弁護士連絡会の代表世話人を務めていますが、政治家と統一教会の癒着は被害拡大の要因となるので困ったものだと思っています。

自民党との結びつきは、岸信介元首相から始まりました。岸元首相は勝共連合の発起人の1人です。文鮮明は韓国の朴正煕元大統領に勝共連合を売り込んで食い込みに成功して味をしめ、岸元首相と握手して日本でも勝共連合結成へと進み、日本の政界に食い込んでいきます。

統一教会にお墨付きを与えた安倍元首相

自民党が統一教会に近づくのは、岸元首相が勝共連合と友好関係にあったからといえます。共産主義やリベラル政治をなんとかしないといけない。その思いは安倍晋三元首相も同じです。

安倍元首相と統一教会との関係は「利用し、利用される関係」だと思います。

いろんな問題を起こしていることには目をつむって、共産主義やリベラル政治をやっつける。そのために役に立つ統一教会を使う。統一教会と仲良くすることで選挙応援をさせる。

安倍元首相が自民党のなかで大きな顔ができるのも、選挙で統一教会の票を差配できることと無関係ではないと思います。

一方、統一教会の後ろ盾となり、お墨付きを与える役割を果たしています。

信者は、安倍氏やその他の国会議員の統一教会教祖をたたえるメッセージや映像を見て、文鮮明が言う「地上天国」の実現は、近いのかも知れないと本気で思うでしょう。

統一教会の応援を受けている地方自治体の議員や首長らもたくさんいます。統一教会は沖縄でもうごめいています。

統一教会は、LGBT、夫婦別姓、同性婚への、強い反対キャンペーンを関連組織をつくって展開しています。こども庁になるはずだったのが「こども家庭庁」に変更されたのも、統一教会の影響といわれます。これも、自民党の保守派とピッタリあいます。

統一教会の思惑に支配される心配

安倍元首相が小泉内閣の官房長官のとき、統一教会のイベントに祝電を打ち、我々全国霊感商法対策弁護士連絡会は抗議しました。

文化庁宗務課が名称変更を認めた時の文部科学大臣は下村博文氏です。そして下村文部科学大臣は第二次安倍内閣の一員です。それまで受理もしなかった名称変更を認めてしまったことによって被害者がどれだけふえたことか。動きを察知した全国霊感商法対策弁護士連絡会は、当時の下村博文文科相らに変更を認めないよう申入書を送っています。

安倍元首相はいろんなイベントでメッセージを送っていました。去年の9月には、天宙平和連合という統一教会のダミー組織に祝電を送っています。

2019年に全国霊感商法対策弁護士連絡会は、国会議員に対し次のような要望書を送付しました。「旧統一教会やその正体を隠した各種イベントに参加したり、賛同メッセージを送らないで下さい」

岸田首相と自民党は「統一教会との関係を断ち切るべきだと」という言葉を実現する責任があると思います。そうでなければ、日本は統一教会の思惑に支配される国になってしまうと、心配になります。

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