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星英雄:日本国憲法に従わない岸田政権

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日本国憲法は、権力のよりどころを定めている。

日本国憲法は前文で「政府の行為によつて再び戦争の惨禍が起ることのないやうにすることを決意し、ここに主権が国民に存することを宣言し、この憲法を確定する。そもそも国政は、国民の厳粛な信託によるものであつて、その権威は国民に由来し、その権力は国民の代表者がこれを行使し、その福利は国民がこれを享受する。これは人類普遍の原理」と歌っている。

国民主権は「人類普遍の原理」なのだ。

大日本帝国憲法(明治憲法)では、主権は天皇にあり、国民の権利は天皇からあたえられたものだったが、今の日本国憲法では国の最高決定権は国民にあるのだ。

日本国憲法はその国民主権と、基本的人権の尊重、平和主義を基本原理としている。

日本国憲法はさらに第98条で、「この憲法は、国の最高法規であつて、その条規に反する法律、命令、詔勅及び国務に関するその他の行為の全部又は一部は、その効力を有しない」と明記している。

政治が憲法に従って行われることを、立憲主義の政治、という。岸田政権はこの対極にある。

・主権の放棄

日本時間4月11日に行われた日米首脳会談は、安全保障、とりわけ指揮・統制の問題が焦点になった。

日本の自衛隊が米軍の指揮下に入るのではないか、日本の主権をアメリカに譲渡したのではないか、という問題だ。

指揮・統制の問題では、日米両国が「それぞれの指揮・統制枠組みを向上させる」と、外務省ホームページは紹介した。

岸田首相は国会でも厳しく追及されたが、しらを切り通した。

共同声明などには「日米同盟は前例のない高みに到達した」「戦略的協力の新しい時代」「グローバルなパートナーシップ」の言葉が躍る。

アメリカのバイデン大統領は共同記者会見で「日米同盟が始まって以来、最も重要な刷新だ」と表明した。

普通の理解なら、日本の自衛隊が米軍の指揮下に入ったと受け止めるのが自然だろう。

朝日新聞4月27日付の「天声人語」はこう語る。「政府はいざという時に「指揮下ではないが監督下に入る」とか「指揮と指図は違う」とか言い出して、煙(けむ)にまくのでは」と。

それも困るのだ。煙にまかれたくない国民にとっては。

オランダ軍が3月に米軍北部訓練場であった米海兵隊の訓練プログラムに参加していたことが発覚した。外務省(岸田政権)は「訓練」ではなく「視察」だから日米安保条約が許容する「範囲内」という。

しかし、「視察」かどうか、日本側には見た者はいない。

沖縄タイムス5月2日付は、過去にもイギリス軍などの例があり「他国軍と訓練常態化」と報じている。

すでに事態はここまで来ている。

・戦後の安保政策の放棄で、国賓待遇

産経新聞2024年4月5日付にエマニュェル駐日米大使インタビュー詳報が掲載されている。

エマニュェル駐日米大使は日米首脳会談で、岸田首相が国賓待遇でバイデン米大統領から招待される理由についてこう語っている。

「岸田政権は2年間で、70年来の(日本の安全保障)政策の隅々に手を入れ、根底から覆した。防衛費の国内総生産(GDP)2%への増額、反撃能力(敵基地攻撃能力)保有、そのための(米国製巡航ミサイル、卜マホークの)購入に踏み切った。防衛装備品の輸出にもめどをつけた。日本でこうした意味ある取り組みが一気に起きた。日本は今や米国にとって完全なる安全保障上のパートナーだ」

つまり、日本の戦後の安全保障政策を根底から覆したのが岸田政権だ。それが国賓招待の理由だ、と言う。

しかも、防衛費2%への増税も、敵基地攻撃能力の保有も、安保3文書を閣議決定しただけだ。

「国権の最高機関」(日本国憲法41条)である国会で議論して決めたわけでもない。徹底した国会無視の岸田政権なのだ。

「敵基地攻撃能力の保有」と言って米製の高価なトマホークを買ってはみたが、「敵」の動向を把握するためには軍事衛星が必要になる。結局、撃つかどうかは、アメリカに握られているのが現実だ。

すでに日本の主権をアメリカに売り渡したことになる。

・アメリカの国際秩序の終わり

アメリカの外交問題評議会会長リチャード・N・ハースとジョージタウン大学教授チャールズA・クプチャンの2人は連名で「アジアが経済的台頭を続けるなか、最初はパックス・ブリタニヵ、次にパツクス・アメリカーナの下で世界を欧米世界が支配した2世紀は終わりに近づきつつある」と強調する(フォーリン・アフェアーズ・リポート2021年5月号)

アメリカが軍事力で支配した国際秩序は終わるというのだ。

オバマ大統領(当時)が「アメリカは世界の警察官ではない」といったのは2013年のことだ。

アメリカが正義だったわけでもない。

アメリカはベトナム侵略戦争をした。「大量破壊兵器の保有」を口実にイラクとの戦争も行ったが、後に「大量破壊兵器」がなかったことが判明した。

そのイラクとアメリカの地位協定には「米軍の撤退」が盛り込まれていた。戦後79年、いまだに米軍が居座る日本とは大違いである。

アメリカと日本は核兵器に固執する国として知られる。

しかし今は、核兵器禁止条約がある。

核兵器禁止条約は2021年に条約として発効した。いまでは批准国は70か国にのぼる。ちなみに、国連加盟国は193か国だ。

核兵器禁止条約があるのに、国際世論が核兵器の使用に反対反対しているのに、アメリカが日本のために核兵器を使うだろうか。

アメリカが核兵器を持っていても、ロシアを「抑止」することはできなかったのである(ロシアのウクライナ侵略)。

・主権者は国民だ

岸田首相は国民から「増税メガネ」と揶揄されているが、増税の始まりは防衛費2%からだ。

伊藤環境相は水俣病患者団体との懇談の場で、環境省職員がマイクの音を切切ったのに「(マイクを切ったことは)私は認識していない」と発言した。

この首相にしてこの大臣あり。

4月の衆院3補選は自民党の全敗で終わった。政権交代は、なお平坦ではないないだろうが、戦後の自民党政治の終わりを告げる始まりなのも確かだろう。

岸田・自民党は、裏金問題で使い道を明らかにできない。なぜか。

有罪となった河井克行元法相と妻の案里元参院議員の事件では、自民党本部から巨額の金が河井克行元法相にわたり、選挙で有利になるようにと地方議員に渡されていた。

年間10億円超の国民の税金が原資の官房機密費も、中国新聞や朝日新聞の報道で、選挙の「陣中見舞い」につかわれていたことが明らかになっている。

使途を明らかにしないですむ「官房機密費」という名の国民の巨額の税金を、自民党の政権維持のためにつかっているのだ。

裏金の使途を明らかにできるはずがない。

政権交代への道は、国民が切り開く。主権者は国民だ。いま、国民が問われている。

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