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星英雄:世界は変革期を迎えている

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謹賀新年

今年は世界と日本を少しでもよい方向に動かしたい。

日米安保条約第10条に、以下の文言があるのをご存知だろうか。

「この条約は、日本区域における国際の平和及び安全の維持のため十分な定めをする国際連合の措置が効力を生じたと日本国政府及びアメリカ合衆国政府が認める時まで効力を有する。」

つまり日米安保条約(日米軍事同盟)は、国連の安全保障措置が機能すれば、効力が亡くなる存在なのである。

国連は、戦争を違法化する不戦条約の流れを受け継ぎ、結成された。

国連憲章はその前文で「われら連合国の人民は、われらの一生のうちに二度まで言語に絶する悲哀を人類に与えた戦争の惨害から将来の世代を救い、基本的人権と人間の尊厳及び価値と男女及び大小各国の同権とに関する信念をあらためて確認し、正義と条約その他の国際法の源泉から生ずる義務の尊重とを維持することができる条件を確立し、・・・」とうたっている。

そのうえで、国連憲章第1条は目的を「国際の平和及び安全を維持すること。・・・」とし、国連はすべての加盟国に対して紛争の平和的解決を求め、武力による威嚇と武力の行使を禁止している。

「今日の国際社会において唯一の包括的・普遍的な組織である国連の中で、国際の平和と安全の維持につき主要な責任を有」すると日本政府(外務省)でさえ認める存在だ。

国連の中心は安全保障理事会(安保理)だが、アメリカ、イギリス、フランス、ロシア、中国の5常任理事国は拒否権を持つ。そのことに対する中・小国の不満と批判は設立当初からある。

今日、世界の中心である国連は、世界196ヵ国中193ヵ国が加盟している。しかし冷戦を機に、米ソが拒否権を応酬し、安保理は機能しなくなった。そして今日、核兵器を持ち国連安保理常任理事国として拒否権を持つロシアがウクライナを侵略し、国連・安保理改革は避けられなくなった。

ロシアのウクライナ侵略を巡って、機能しない安保理に替わって全加盟国参加の国連総会が働いている。

例えば、2022年10月には、ロシアのウクライナ4州併合を「違法・無効」とする非難決議を採択した。143カ国が賛成し、ロシアやベラルーシなど5カ国が反対、中国など35カ国は棄権した。ロシアの国際的孤立を深める結果になったと言える。

世界の安全保障は、この国連の安全保障を強化することだと思う。

気候危機(地球温暖化)も待ったなしの課題だ。

ロシアのウクライナ侵略からどんな教訓を学びとるかは、きわめて重要である。国民の不安に乗じて軍事大国化にハンドルを切った岸田政権もまた、批判の対象だ。

日本の岸田・自公政権は「安保3文書」で、敵基地攻撃能力を持つことを明記し、専守防衛から「他国攻撃」へと安全保障政策を大転換した。引き続きアメリカの核兵器に依存することも明記した。

敵基地を攻撃すれば、国民の安全を守れるのかと問えば答えは逆だ。国民の命を脅かし、国民の命を奪う結果にしかならないだろう。アメリカに依存した結果として、食料自給率は30%程度、また、エネルギー自給率は10%程度の国日本に、戦争を継続する力はない。

米国製トマホークで、敵基地を攻撃すれば、相手国からそれに倍する攻撃を受ける。つまり敵基地攻撃は、戦争を想定していることの別の表現だ。戦争はそのようにして始まる。国民が犠牲になることを戦争という。

ロシアによるウクライナ侵略を見ると、日本がアメリカの核兵器を安全保障政策の中心に据え、従順に振る舞うことがいかに愚かなことか、わかる。

ロシアのウクライナ侵略は、プーチン大統領が核で世界、とくにアメリカをけん制する形で始まった。アメリカは核を持っていても、戦争は阻止できなかった。アメリカの核抑止力が破綻したことを意味する。そればかりか、アメリカはロシアとの戦争にならないように、ウクライナに慎重に武器を援助してきた。ロシア領に届かないことを条件に武器を提供するなどしてきた。

つまり、米・ロ戦争にならないようにアメリカは振る舞ってきたのだ。アメリカを盟主とするNATO(北大西洋条約機構)もまたそうである。

中国もまた、核大国だ。ロシアとウクライナ、そしてアメリカとの関係は、中国、日本、アメリカとの関係によく似ている。アメリカは日本のために核兵器を使わない。

いや、使う「日本はアメリカの同盟国だ」と主張する方は、軍事の専門家として安倍元首相に重用された河野克俊・元統合幕僚長の発言に耳を傾けるべきだ。

「米国が核を使ってでも日本を守るようにするには、米国にとっての日本の価値を高めないといけない」(朝日新聞2019年5月17日付)と言っている。つまり今以上にアメリカの言うことに従順に従わないと、アメリカは日本のために核兵器を使わないと、いうのである。

日本はすでに、世界で唯一の米兵天国だ。山口県岩国市の米軍岩国基地の海兵隊員が自動車販売店から車を盗んでも逮捕はできなかった。

沖縄では民家の上空を米軍機が飛び回り、米兵の性暴力に女性はおびえて暮らし、水道水も米軍の泡消火剤によって汚染された。日本は世界に例を見ない、米兵が何をやっても許される米兵天国だ。

岸田首相はこの1月、バイデン大統領と会談するために訪米すると言われている。その手土産が、敵基地攻撃能力とトマホークの爆買いだ。アメリカに媚びを売り、安倍派に媚びを売る岸田政権は「毒をくらわば皿まで」政権だ。

日米同盟もNATOも、仮想敵国を想定し、集団的自衛権を行使する軍事同盟だ。国連の集団安全保障とは違う。

核兵器は国際社会で非人道敵兵器として扱われている。すでに、核兵器の開発、実験、使用、威嚇などを禁止する核兵器禁止条約は国際条約として発効している。核兵器保有国を、核兵器禁止条約に巻き込んで行こう。

それにしても世界は近くなった。世界の距離は、科学技術の発展などのおかげで、近くなった。第2次世界大戦とはそこが違う。ウクライナからは女性たちが、ロシアからは兵役逃れの若者が、自国を脱出した。第2次世界大戦の時は考えられなかったことが起きている。国連の集団安全保障を機能させる土壌はできつつある。

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