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星英雄:プーチンのウクライナ侵略から明らかになったこと 地球上から核兵器を一掃しなければならない

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ロシアのプーチン大統領・軍の蛮行を許すな。プーチンは市民を攻撃の対象にし、都市を破壊し、多くの非戦闘員、女性や子どもたちの命を奪った。マリウポリ市では1万5000人の市民を強制連行し、極東送りにしたという。原子力発電所も攻撃した。無差別爆撃で人命を奪うプーチン・ロシアに対し、我々は地球上から核兵器を一掃することでこたえたい。

プーチンのウクライナ侵略戦争の特異性は、プーチンが核兵器の使用も辞さない姿勢を示すことで、アメリカやヨーロッパ諸国をひるませてから、ウクライナを攻撃したことにある。プーチンはウクライナ侵略の初日にテレビ演説でこう語った。「ロシアは世界で最強の核保有国の一つであり、我が国への攻撃が侵略者に悲惨な結果をもたらすことは疑いがない」。

前代未聞の核兵器による脅しである。その後も、核の威嚇をエスカレートさせていった。それが、人間の命を奪い、都市を破壊することを目的とした無差別爆撃を可能にした。

アメリカはウクライナに武器を供与しても、派兵しないことを繰り返し表明している。ウクライナのゼレンスキー大統領はアメリカやイギリスなどの議会でオンライン演説し、ウクライナ上空に「飛行禁止空域」を設定することを強く求めたが、アメリカやヨーロッパ諸国はロシアとの「本格戦争」を恐れて応じない。

プーチンのウクライナ侵略が明らかにしたことは、NPT(核兵器不拡散条約)体制の破綻、核に依存する「核抑止力」の破綻を世界に示したことである。

ロシアはアメリカ、イギリス、フランス、中国とともに核兵器不拡散条約で認められた核兵器国である。核兵器不拡散条約は「1967年1月1日前に核兵器その他の核爆発装置を製造しかつ爆発させた国をいう」(9条3)として、ロシアなど5ヵ国を「核兵器国」として、つまり核兵器を保有することを公然と認めた。他方、締約国190ヵ国以上のほとんどの国は核兵器を保有していない。

核兵器不拡散条約は核軍縮を核兵器国に義務付けているが、ロシアは核軍縮どころか、核戦争も辞さずと世界を威嚇した。事実上、核兵器不拡散条約は破綻したと言える。

核の拡散を防止するという核兵器不拡散条約の下で、ロシアやアメリカなど5ヵ国以外にも核は拡散した。インド、パキスタン、 北朝鮮、イスラエルだ。ロシア以外にも、核を保有する国が核で世界を威嚇すると「核抑止力」では対抗できないことを、プーチンは明らかにしてしまった。

アメリカの核を恐れている国もあるだろう。核兵器を保有していることが世界の安全を脅かしている。地球上から核を一掃しない限り、「平和」は訪れないのだ。

核兵器の開発、使用、威嚇などを禁止する核兵器禁止条約は昨年1月、国際条約として発効した。すでに60ヵ国が批准している。しかし、アメリカの核の傘に依存する日本やロシア、アメリカなど特権的な核兵器国はいまだ不参加だ。核兵器禁止条約は、廃棄を約束すれば核兵器国も加盟できる。核兵器国を核兵器禁止条約で縛らないと平和は訪れない。

日本では、この危機に乗じて「核共有」論が台頭しているのだから、驚くべきことだ。核共有論とは、米国の核兵器を日本国内に配備し、共同運用すること。核兵器の使用について日本にも関与させてほしいという願望だ。安倍元首相が議論を提起し、日本維新の会も「核共有」の立場を鮮明にしている。

岸田首相もアメリカの核兵器への依存を公言することでは安倍元首相と同じである。「日米同盟の『拡大抑止』は大変重要だ」と主張している。安倍政権時に制定した「国家安全保障戦略」は「米国による拡大抑止の提供を含む日米同盟の抑止力により、自国の安全を確保している」と明記している。これが日本の安全保障政策のよりどころなのだ。「核抑止力」の破綻が明らかになってもなお、アメリカの「核」にすがるとはどういうことなのか。

軍事の世界では、「核兵器があれば、相手は手出しができない」という虚構が作り出されてきた。「核抑止」論である。ところがプーチンのウクライナ侵略戦争は違う。プーチンが「核戦争」で威嚇すれば、アメリカは「核」を持っていても「核」で対抗できない。

「アメリカの核のカサは開くのか」と問えば「アメリカを信頼するしかない」というのが歴代日本の政権の立場だ。実は「アメリカが日本のために核を使用するはずがない」という、対米不信感はかなり以前から根強く存在する。

たとえば1980年、大平首相の政策研究会「綜合安全保障研究グループ報告書」は「『核のカサ』の信頼性については、アメリカに対する同盟国の協力が重要となってきた」と指摘する。つまり、アメリカが日本のために核を使うとすれば、それは「日本の対米協力」次第だと。

安倍首相に重用された自衛隊トップの河野克俊・元統合幕僚長はこう語る。「米国が核を使ってでも日本を守るようにするには、米国にとっての日本の価値を高めないといけない」(朝日新聞2019年5月17日付)。アメリカが確実に日本のために核兵器を使用するのであれば、こんな発言はしないだろう。「アメリカにとっての日本の価値を高める」究極の姿は、日本がアメリカの1つの州になることである。

そもそも非人道的な大量殺人兵器の「核」が安全を保障するとは、一体どういうことか。根本的な矛盾ではないか。

プーチンのロシアは国連安全保障理事会常任理事国でもある。核兵器を保有するアメリカ、中国など核の5大国は国連の安保常任理事国だ。国連総会決議は加盟国に対し拘束力はないが、安全保障理事会理事会の決議は加盟国を拘束する。さらに、安保常任理事国は拒否権を持っている。

拒否権があるために、自国民を大量虐殺するミャンマー国軍のクーデターを制裁できない。国連の安全保障理事会は戦後国際秩序の中核を担ってきたが、機能しないことも珍しくない。

アメリカが正しいわけでもない。アメリカはイラクが「大量破壊兵器」をもっていることを口実にイラクに攻め入り、イラクが「大量破壊兵器」を持っていなかったことが後に判明した例もある。アメリカはNATO(北大西洋条約機構)の盟主でもある。NATOは軍事同盟だ。その東方拡大が正当化されることはない。だからといって、人間の命を奪い、都市を破壊してなお残虐を極めるプーチンのウクライナ侵略戦争を正当化できないことは、論をまたない。

プーチンのウクライナ侵略は第2次大戦後の国際秩序のあり方を問わずにはおかない。アメリカ国内ではプーチンのウクライナ侵略以前から、「パックスアメリカーナ」アメリカの軍事力が支える国際秩序は終わりつつある、という見方が少なくない。オバマ大統領(当時)の「アメリカは世界の警察官ではない」というのもその1つである。

第2次世界大戦後の世界は「軍事力によらない紛争の解決」を目指してきた。国際秩序の改革は、核兵器をこの地球上から一掃することから始まる。ロシアやアメリカなど核兵器国は核兵器禁止条約に背を向けていて、核兵器の廃絶は容易なことではない。しかし、地球上から「核」を一掃することが平和への一歩となることは間違いない。それは一部の特権諸国ではなく、ロシアを含む、世界の人々の意志──国際的な世論が決めるに違いない。

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