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星英雄:無症状者を発見・隔離することがコロナ対策の1歩だ

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菅政権にわれわれの命を託せるだろうか。新型コロナウイルス対策をゆだねることができるだろうか。国民の多くは「ノー」と言うだろう。1都3県に緊急事態宣言を出したが、それは責任を国民におしつけるだけ。政治の役割、政治の責任を果たそうとしない。いま必要なことは無症状者の把握、隔離だ。

先日(12月28日)、朝日新聞にコロナ対策の核心に触れた記事が掲載された。入院患者43人もの死者を出した東京・台東区の永寿総合病院理事長(前病院長)のインタビュー記事だ。

理事長はこう言っている。「当時の知見では、なぜこんなに次々と広がるのか分からなかった」、「無症状の陽性者がすり抜けてしまうことは、後からわかった」。痛切な体験の後、永寿総合病院は自前のPCR検査の採取から判定まで行うセンターを設置し、安心して夜中や緊急手術前の対応が出来るようになった──という記事内容だ。

つまり、感染していても発熱とかの症状が出ない無症状者を、PCR検査で発見できるようにしたことで、安心して病院の運営ができるようになった、というのである。

永寿総合病院はベッド数400を数える総合病院、地域医療支援病院だ。東京都指定の二次救急医療機関でもある。病院中が感染し、機能がマヒした永寿総合病院に、鳴り物入りで厚生労働省クラスター班が調査に入った。そして2020年4月15日に報告書を公表した。
ところが報告書は、「認知症など動き回る患者の存在」などが感染を拡大したとの指摘はあっても、「無症状者」については何も触れていない。

そもそも安倍前政権以来の「クラスター対策」は、「無症状者」を野放しにする「対策」だった。せいぜいのところ、「集団感染」発生に対する事後処理で、発生源に迫る対策ではなかった。PCR検査を軽視、あるいは否定することの裏返しの「対策」だったといえる。

都内では、いくつもの病院で院内感染・クラスターを発生した。死者も多数出した。だが、当時の安倍首相も小池都知事も、遺族に詫びたとは聞いたことがない。

当初、「37・5度以上の発熱が4日以上」などの条件を付けた行政検査では、症状のない者は対象外だった。菅政権が誕生した後も、PCR検査軽視は変わっていない。緊急事態宣言の翌日、厚労省のホームページを閲覧した。

「新型コロナウイルスに関するQ&A(一般の方向け)」は、「日本のPCRの実施件数が諸外国と比べて少ない」との問いに、「潜在的な感染者を捕捉できていないということはない」と、あたかも無症状者を補足しているかのように居直りつつ、日本のPCR検査は「諸外国と比較して少ない状況にあり、実施件数を増やしていくことが課題」とも言っている。「少ない」のではなく、軽視してきたツケがいままわってきていることを菅政権は認めるべきだ。

感染していない人間からは感染しない。無症状者(したがって、感染している自覚がない人)が飲みにいったりして、他人を感染させているのだ。無症状者を発見して、隔離する。感染症対策の基本は検査と隔離。これが世界標準だ。

飲食店を標的にした今回の緊急事態宣言は、小池都知事が昨年夏、「夜の街」をターゲットにしたことを想起させる。小池都知事にターゲットにされた東京・歌舞伎町は、PCR検査を徹底し、感染を抑制し、小池都知事に揶揄されることはなくなった。

驚くべきことは、菅政権は何の見通しもないことだ。西村担当相は緊急事態宣言の解除の目安は、東京都の感染者数が「1日あたり、約500人」という。昨年5月25日、第1次緊急事態宣言を解除したときの東京都の感染者数は8人。「500人」は驚くべき数字である。すぐに、次の波に襲われる。

安倍政権、菅政権の2代の自公政権の無策によって、国民は命と生活が脅かされている。

安倍前政権は言うまでもないことだが、菅政権は何をしてきたのだろうか。

首相の「Go To」キャンペーン実施が危機的事態を招いたことは周知の事実である。「Go To」にこだわり、後手後手に回った。その挙句の「緊急事態宣言」である。

菅政権は成立以降何をしていたのか。「勝負の3週間」と言って国民に自粛を求めたが、結局感染増大で終わった。「勝負の3週間」の12月14日夜、菅首相や自民党の二階幹事長らは、東京・銀座のステーキ店で会食をしていたのだ。

国民には「感染対策徹底のため、飲食の際にも会話中はマスクの着用を」求めた菅首相が、ステーキ店でマスクもしていなかったことも判明した。二階幹事長は批判に反論し、反省する気配も見せない。さらに、橋本五輪相も6人ですし会食をしていことが判明。菅政権は、実は国民のことは眼中にないのだろう。

日本医師会の中川会長は緊急事態宣言期間中は、国会議員の夜の会食の全面自粛を求めたが、受け入れられなかった。国民は「国会議員は特権階級か」と批判している。

菅首相にとって一番大事なのはコロナ対策ではなく、オリンピックだ。オリンピックに対する異常なまでの執着だけは明らかだ。オリンピックを実現し、解散・総選挙、自民党総裁選を有利に運びたいとの思いである。

緊急事態宣言のとき、菅首相はこう明かした。「昨年IOCのバッハ会長と会談をした時に、必ず実現させる」ことで一致したと。しかし、バッハ会長は感染拡大がつづくヨーロッパでは相手にされていない。

菅首相も小池都知事も、バッハ会長とともにオリンピックの実現をめざしているが、国民はどの世論調査をみても否定的だ。IOCがオリンピックの延期を決定した昨年3月24日の東京の新規感染者数は、18人だったが、いまは2000人をはるかに超えている。

菅首相はオリンピックのためなら手段を選ばない。コロナ対策を緩和することも、やってきたのである。国民よりも、オリンピックを大事にすることは明らかではないか。

菅政権は、日本在住の日本人と在留資格を持つ外国人について、帰国または再入国後の2週間待機を免除。さらに、中国、韓国、台湾、香港、マカオ、シンガポール、タイ、豪州、ニュージーランド、ブルネイ、ベトナムの11カ国・地域について、渡航中止勧告と入国拒否を解除するなどしてきた。

米軍は日本に入るも出るも、ノーチェックだ。沖縄の米軍は感染者が途絶えることはない。菅政権は「米軍はアンタッチャブル」を押し通す。

東京も日本の各地も、かつてないほどの記録的感染拡大に直面している。東京では医療崩壊が始まっている。すでに、自宅療養など入院治療できない人が1万人いる。

家庭内感染や市中感染が広がっている日本の現実を直視することから、コロナ対策は始まる。「市町村単位でいっせいのPCR検査が必要」と、医師が主張しはじめた。東京都医師会の副会長は感染リスクが高い地域などに対して「無症状者を含めた集中的なPCR検査を行う」必要性を訴えている。

菅政権・小池都政は、本気で新型コロナウイルス対策に取り組んでいるのか。

日本の医学・科学の学者や専門家の多くの人々が政府とそれを支える分科会などを批判している。いまのやりかたでは、またいつか緊急事態宣言を出し、国民に自粛を求めることになるだろう。そして感染が拡大する。

そのことは1波から2波、2波から3波へと、自粛した結果としてその時々の最多の感染者数からは下がっても、新たな大きな波を出現させたことでも分かる。

「国民の命を守る」と口先では言うが、菅政権の新型コロナウイルス対策は破綻している。破綻を認め、日本の医学・科学の最新の知見を取り入れて、具体的な対策を打ち出すべきである。

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