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星英雄:国民の命・健康よりも「Go To」を大事にする菅首相

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菅政権は新型コロナウイルス対策が最優先課題という。しかし、安倍政権も無策だったが菅政権もひどすぎる。「Go Toキャンペーン」が感染者を拡大し、日本の1日あたりの感染者は過去最高を記録しているのに、本格的に見直すつもりはない。国民の命・健康よりも「経済」対策が大事、これが菅政権の実像だ。

〈STAYとかHOMEとかGO TOとか
わたしたち犬みたいだよねって
誰かが言って本当にそうだなって怒りながら笑ったけど。(後略)〉

詩人23人が輪番でつづるウェブサイト「空気の日記」に、こんな詩があった。国民は「お手」、「お座り」と言われて素直に従う飼い犬のように扱われているのではないか──。政権にたいする覚めた見方、そして静かな怒りが伝わってくる。

この詩は7月、まだ安倍政権の時期のものだが、今の菅政権にもそのまま当てはまる。新型コロナウイルス対策と称して、国民に「自粛」を求めるだけだ。一方、「Go to キャンペーン」でカネをばらまき、感染を拡大している。

新型コロナウイルスは恐ろしい病気だ。感染すると死に至る場合があるし、若者でも重症化する。深刻な後遺症に襲われるケースも少なくない。誰も感染しないほうがいいと、分かっているのに。菅政権の無策から、国民は自分の身を守るために「自粛」しているのだ。

国民が自粛すれば感染の波は小さくなり、自粛を緩めれば波は大きくなる。そして今、急拡大の時期「3波」を迎えている。 日本医師会会長は新型コロナウイルス感染者の急増は、「Go To トラベル」が「きっかけになったことは間違いない」と明言した。「自粛」を求める一方で旅行や飲食を促すのは、どう考えても矛盾しているではないか。

この間、菅首相が異常な執着を見せたものがある。東京オリンピックの開催だ。巨額の追加費用もコロナ禍もなんのその。国民がどんなに犠牲を払おうとも、菅政権の実績にしたい思惑が露骨だ。

まともな対策もやらずに、菅首相は「静かなマスク会食」と言い出したが、国民は拒否反応を示している。

西村担当相の発言はそんな菅政権の無責任さをあからさまにした。西村氏は「Go To トラベル」を利用して「旅行されるかは国民のみなさんの判断だ」と言ってのけた。感染が「どうなるかは神のみぞ知る」とも公言した。国民の命と生活に対する政府の責任はみじんもない。

菅政権は国民の命・健康よりも経済・オリンピックを優先する。それは「経済再生」担当大臣が新型コロナウイルス担当大臣であることにも現れている。菅政権の実態である。

「Go To キャンペーン」は誰のためにやっているのか。

「Go To トラブル」と揶揄されるほど、「Go To トラベル」はずさんなものだが、予算規模は 1 兆1000 億円以上。原資は低所得者を含めた国民の血税だ。

高級ホテルには客は殺到しているが、安いホテルや民宿には客はほとんど寄り付かない。観光事業者の救済とはいうが、業界の底辺を支える低価格のホテルなどにはあまり役立たない仕組みだ。

誰が「Go To トラベル」を利用するのか。

日本の非正規雇用は、2018年は2165万人いるという(総務省「労働力調査」)。年収200万円以下が当たり前という非正規雇用の人々は、旅行に行く余裕もない。母子世帯もそうだろう。

仕事を失った人たちもいる。総務省によれば、コロナの影響で2から9月までに約80万人もいるのだ。

かつて菅首相が総務相の時、菅氏の肝いりでつくられた「ふるさと納税」制度には、「金持ちの節税対策」、「金持ち優遇」との批判がある。「Go To トラベル」もまさにそれだ。菅首相の頭には、低所得層のことはない。税金は公平、公正に使われてはいない。

「GoToイート」はもっと露骨だ。飲食店より大手予約サイトが確実にもうかる仕組みになっている。そして「お友達優遇」だ。予約サイト「ぐるなび」の創業者、現会長の滝久雄氏は菅氏と昵懇なのだ。滝氏は古くから菅首相の有力なパトロン・後援者。献金もしている。

それだけではない。滝氏はことしの文化功労者にも選ばれている。驚きを禁じえない。安倍政権を引き継ぐと宣言するだけあって、政治権力を使って「お友達」にカネも「名誉」も与えている。それが菅政権だ。

安倍政権も菅政権も国民の「自粛」を促す道具に用いてきた「クラスター対策」はとうに破綻している。集団発生を早期に把握し、濃厚接触者を追いかけて感染者を探すというのがクラスター対策。しかし、感染経路不明、市中感染が増えてきた段階で、破綻した。4月という早い時点だったといわれる。

新型コロナウイルス感染症対策分科会の尾身会長は最近になってこう言い出した。「ここまでくると人々の行動変容だけでは感染を下火にできない」。

「行動変容」とは、行動を変化させること。つまり、「自粛」を促すことだ。尾身会長は「自粛」だけでは感染を抑えられないと言ったのだ。

10月末の新型コロナウイルス感染症対策分科会で配布された資料には以下の記述がある。

「新宿区長から、PCR検査をしっかり行うことで感染拡大を防ぎたいとの提案を受け、行政が本気で動いてくれることを実感し、積極的に従業員に検査を受けさせた。結果、約半数が陽性であり、その多くが無症状であった」

小池都知事が「夜の街」と冷やかすだけで、政府も東京都も何も手を打たなかったが、新宿区が積極的にPCR検査を実施。陽性者の「多くが無症状であった」ことを突き止め、鎮静化に成功した。

問題の核心は「無症状者」を発見し、隔離することにある。症状として出ないから、感染していても自覚がない。だから、街中に出て行って、ウイルスをまき散らすことになる。他人に感染させることになる。

PCR検査を活用する無症状者の対策が必要になっている。

今年7月、参議院予算委員会で児玉龍彦東京大学名誉教授はこう言った。「第1の波、第2の波のときにきちんと制圧して無症状の感染者もなくしていくべきだったのに、それが行われないままに、実際に東京の中に今エピセンターが形成されつつある」

エピセンターとは、無症状の感染者が集まり、感染が持続的に拡大する地域のことを指す。7月に感染者が多数見つかった歌舞伎町がまさにそれだったのだ。

無症状の感染者をPCR検査で把握する必要がある。

思い出してほしい。「37・5度以上の発熱が4日以上」などの条件を付け、PCR検査を政府が制限してきたことを。無症状者が受診することはまずない。街中に放置されてきたのだ。

東アジア諸国をみれば、そのことはより一層明らかになる。

アメリカやヨーロッパ諸国を見れば、日本の対策はうまくいっているように見える。しかし、東アジアには、日本より感染者も死者も少ない国はたくさんある。

当初、世界を震撼させた中国も、その後は感染の抑制に成功している。徹底したPCR検査が功を奏している。感染者、死者がすくないから、日本のコロナ対策はうまくいっているというのはほとんど「フェイクニュース」だ。

日本時刻11月23日時点のアメリカのジョンズ・ホプキンス大学の集計によれば、中国の感染者は9万2116人。死者は4742人。日の本感染者は13万3034人。死者は1943人。中国の人口は14億人以上なので、人口比で計算すると中国の感染者は日本の6%、死者は20%ほどの少なさだ。

韓国は感染者3万1004人、死者509人。ベトナムは1307人と35人、台湾は617人、7人。といった状況だ。

菅政権の無策に任せていては「命が守れない」と、PCR検査に取り組む自治体が現れている。たとえば東京・世田谷区。社会的インフラを維持するためのPCR検査として、介護事業所や障害者施設、児童養護施設、保育園・幼稚園、小・中学校の職員や教員を対象とした「社会的検査」の実施を決めた。「施設利用者への感染を未然に防ぎ、重症化を避けること」などを目的としたPCR検査(社会的検査)だ。

不要なアベノマスクだけでも260憶円、「Go To トラベル」にも1兆円以上の血税が投入される。この巨額の血税をPCR検査に回せ。中国や韓国などにできて、なぜ日本はできないのか。

主権者は、菅政権ではなく国民だ。

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