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川名真理:講談社・弘兼憲史への抗議のスタンディングを終えて

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(川奈真理:島耕作の辺野古・日当デマに抗議する、参照。川奈は、正しくは川名です。大変失礼しました。お詫びします。)

スタンディングは約80人が集まりました。終了後に講談社の広報と面談もでき、意見を伝えてきました。

講談社は私たちの抗議を意識して、それに間に合うようにお詫びを出したそうで、そこにつながり、よかったです(お詫びの内容は不十分ですが)。

拡散やご参加、ポスデモに参加してくださったみなさま、ありがとうございました。

講談社への意見を出すのは有効だと思います。社内の良心の背中を押すことにつながります(宛先https://inquiry.kodansha.co.jp/)。

島耕作の辺野古・日当デマに抗議のご報告。(10月23日現在)

『モーニング』46号(10月17日発売)掲載の漫画「社外取締役島耕作」(作:弘兼憲史)で、登場人物が辺野古の座り込みに日当が出ると話す場面がありました。

「ニュース女子」でも流された古典的デマで、この問題に取り組んできた「沖縄への偏見をあおる放送をゆるさない市民有志」として看過できず、10月21日(月)18時半から1時間、講談社前のスタンディングを呼びかけました。

講談社とのやりとりを中心にご報告します。講談社には全体として丁寧に対応していただき、「人間的に扱ってもらえた」「訴えを聞いてもらえた」と感じました(比較対象は「ニュース女子」のときに抗議した東京MXテレビです)。

午前中にモーニング編集部に電話して、電話に出た女性に「編集長か島耕作の担当編集者に伝えたいことがある」と伝えたところ、男性に代わられたので「どなたですか」とたずねたら、「担当です」との答え。ニュース女子問題に取り組んできたこと、その経験から「日当が出る」と思わせる漫画のセリフはデマであり、その問題点を編集長・担当編集者と直接会って伝えたいこと、謝罪と訂正を求めることが目的であることを伝えました。

誠実に耳を傾けてくれたように思いました。「社で検討中なので、結論が出たら連絡するので名前と連絡先を教えてほしい」と言われ、伝えしました。

講談社前で抗議行動を呼びかけており、18時ごろ講談社前に到着。サイレントスタンディングの予定でしたが小さいスピーカーを持ってきてくれた知人がいました。また、「沖縄の人からメッセージを預かっているので読み上げたい」という方もいたため、リレートークをすることにしました。

開始時間には60人ぐらい、最終的にはメディアを含めて80人ぐらいの参加者がありました。10人ぐらいの方にお話をしていただきましたが、どれも心からの憤り、痛み、いたたまれなさを感じさせるもので、自分一人ではとても思いつけない多彩で深いお話を聞くことができました。

アマチュア漫画家、東京在住の沖縄県民(3人)、名古屋から駆けつけてくれた方もいました。音量のあるスピーカーが用意できず、離れたところにいた方には申し訳ないことをしました。

開始直前にメディアの方が「講談社がモーニングのサイトで謝罪を発表している」と教えてくれました。検索しましたがすぐに出て来ず、開始時間になったので気になりつつも内容を確かめられませんでした。リレートーク中、ふと気づくと通用門の内側に数人の男性が立っているのが目に止まりました。「あ、講談社の人が聞いてくれているんだ」と理解しました(MXのときは総務の人が最初の3回ぐらい立ち会っただけでした)。

よいトークの連続だったので聞いてもらえてうれしかったです。先ほどの「謝罪」の件を思い出し、通用口の内側にいた人にその件について聞くと、「おわび」が書かれた紙を出して「この見解を前提に抗議行動を展開してもらえるとありがたい」という趣旨のことをおっしゃいました。広報の方でした。

自分も初見なのでそのまま読み上げるのはためらわれ、講談社の方に「読んでもらえないか」と聞いてみましたが断られたため、私が参加者の前で読み上げました。

読み上げた直後にはっきり疑問を持ったのは「単行本掲載時に訂正する」という部分でした。次号ですぐ訂正するべきだと思い、読み上げた直後にそう言いました。まわりのみなさんも大きく同意の声を上げていました。

(モーニング編集部と弘兼憲史氏連名のお詫びとお知らせ・https://morning.kodansha.co.jp/news/5670.html)

メディアはわかっている範囲で琉球新報、沖縄タイムス、朝日新聞、週刊金曜日、NoHateTV。参加者のプラカードを一つひとつ拝見する余裕はなかったのですが、あとでXの投稿を見ると工夫を凝らしたユニークなものがたくさんあり、人数だけでなく、マイクアピールだけでもなく、参加者の熱量がよく伝わるスタンディングだったと感じました。

主催者が用意したのは「島耕作の沖縄・辺野古の日当デマに抗議します」と書いた横断幕一枚だけです。

スタンディングを終えると講談社の方が私を呼んでいると伝えてくれる人がいました。講談社からの返事は編集部から電話で伝えられるものと思っていたのですが、広報の方が面談に応じてくれるということでした。そこで昼間から面談のために待機してくれていた仲間のFさんと二人で社屋に入ることに。メディアの方も同席を希望されましたが、講談社の方に断られていました。

歩きながら、広報の方から「抗議行動をすることは知っていたので、それに間に合うように謝罪文を出した」と聞きました。「スタンディングは今後もやるのですか」とも聞かれたので「それは講談社さんの対応次第です」と答えました。

スタンディング参加者が「誤記を訂正する程度のお詫びに感じた」と話したことを引用して自分もそう感じたと述べたところ、「事実に基づいていない。かなり深く反省して作ったものだ」と心外なご様子でした。当然のことながら見方が違うことがわかりましたが、そのようなやりとりをすることも、理解しあうためには大事なのではないかと思います。

面談は私とFさん、講談社側は広報の2人。9割以上、自分たちが伝えたいことを話し、聞いていただきました。熟考する時間はなかったのですが、具体的に求めたことは以下の2点になります。

1)川名:モーニング本誌の次号で訂正を出してほしい→講談社:校了しているので次号は間に合わない。次次号の訂正になるが、それは編集部に伝える

2)川名:校閲は入らなかったのか?→講談社:入るときと入らないときがある→私:確認してほしい。もし入らなかったとしたら、そこにデマを広げてしまった要因があると思う。「ニュース女子」のときもテロップとナレーションが入る前のものしかMXは確認しておらず、完パケを見ていなかった。「ニュース女子」の悪質さはテロップやナレーションも見なければ理解が難しい。そうしたチェック体制の甘さが、あのような番組を流してしまう要因になった。講談社も似たような体制があり、隙を作った可能性があるのでは。もし校閲が入らなかったのであれば、体制を見直す対策を検討してほしい。

それについて報告をお願いしたい→講談社:わかりました.

その他、話した内容(全ては書ききれないのでご容赦ください)

Fさん:作者の弘兼憲史氏がどのような認識であのように書いたのか、本人の見解を公表すべきではないか→講談社:(はっきりした返答はなかった)

川名:沖縄を舞台にしたこの連載を続けるのであれば、今の認識のままでは同じようなことが繰り返されるのではないか。弘兼氏は大手セメント会社の社長と最近、対談して知見を得たと「モーニング」に書いてあったが、沖縄の琉球セメント(注・大手とはいえません)は山を削って土砂を辺野古の海に投入する仕事をしている会社。セメント業界周辺が情報源であれば「日当デマ」を耳にしても不思議ではない。沖縄でも東京でも「日当デマ」はかなり浸透している。

聞いたことがその人の世界観をつくる。再取材しないと、悪気がなくてもデマを流してしまい、大元の体質を変えられないはず。再取材すべきではないか→講談社:伝えます

講談社:マンガの中で監視船に乗っている人はアルバイトとしているが、それは間違っていないか教えてほしい→川名:アルバイトという言い方は少し違う。辺野古の漁師さんたちは、基地建設に反対しても変えられないなら補償金をもらったほうがマシとして、漁業を諦めた。本来なら誰よりも海を愛しているその人たちが請け負ってやっている。本当は基地建設に反対でも生活するためにやむを得ないためにした選択によって、地元で分断が生じている。それをやらせているのは誰かということまで感じるような、そうした取材がなければ辺野古を舞台にした漫画を描くことはできないと思う→(特に返事はないけれど誠実に聞いてくれていた)

川名:ネトウヨが「日当デマ」の根拠にしている事例を4つほど挙げて否定→(頷いてくれていました。「ニュース女子」問題はよく知っているとおっしゃっていました)

Fさん:「新潮45」の時のように第三者委員会を作って検証すべき案件だと思う→講談社:(はっきりした返答はなかった)

私とFさん:出版文化やマンガ文化を守りたいという気持ちからこのような申し入れをしていることをわかっていただきたい。人間的に対応していただいたことに感謝しています。

表に出ると、メディアの方とスタンディング参加者数人が待ってくれていました。道端で囲み取材のような形になり、インタビューに答えました。

Xでのポスデモはオンタイムで見ることはできませんでしたが、一時、トレンド入りしたようです。

反省点

・沖縄で座り込みをしている人に対してお詫びをしていないことに気づかず、その点を追及できませんでした。

・デジタル版はすぐ修正できるはずですが、思い至らず追及できませんでした。

不十分な対応だったかもしれませんが、持てる能力で出来る限りの事をしたつもりです。関わってくださったすべての方のおかげで、とても有意義なスタンディング、ポスデモ、面談ができました。ありがとうございました。

※スタンディング終了時のあいさつ(動画https://x.gd/bxpPFでご覧ください)

 

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