昨年11月の首相指名選挙は異常だった。日本維新の会や国民民主党などがあえて無効票を投じることで石破茂首相・自公政権を継続させた。
昨年10月27投開票の衆院総選挙の結果は自公政権ノーが民意だった。それを、維新、国民の両党は棄権票を投じることで石破・自公政権の延命を実現したのだ。
首相指名選挙の仕組みはこうだ。
①選挙は、衆参両院の本会議で、1人の名前を書く「単記記名」の方式がとられる。その投票総数の過半数を得た人が首相に指名される。
②1回目の投票で誰も過半数に届かなかった場合は、上位2人の決選投票が行われる。
③決選投票では、上位2人以外の名前が書かれた票は、無効票としてカウント。投票の結果、2人のうち、多くの票を得たほうが首相に指名されることになる。
日本維新の会も国民民主党も、石破・自公政権の延命のため「無効票」を投じたのだ。
自公政権と日本維新の会は高校授業料の無償化などで合意した。無償化の見返りは2025年度当初予算案への賛成だ。
当初予算案への賛成は、実質与党化の始まりだ、といわれる。
日本維新の会も国民民主党も、どちらも与党志向のつよい政党として知られる。
国民民主党は、岸田政権の2022年度予算案に賛成している。
日本維新の会は、安倍晋三政権、菅義偉政権とは入魂の仲であることが知られている。
日本維新の会はいま、兵庫県会議員3人をめぐって大揺れだ。なにしろ、県議会調査特別委員会(百条委員会)が非公開と定めていたにも関わらず、政治団体[NHKから国民を守る党」党首の立花孝志氏に渡したのだ。
日本維新の会はルールを守らないのでは、と一部では受け止められている。
そもそも国民民主党が要求する「年収の壁」を実現した場合、地方税と国税で、7~8兆円の減収となる。
財源論なき「年収の壁」である。
学習院大学教授・野中尚人氏はこう指摘する。
日本維新の会も国民民主党も「政策協議は非公開で行われ、国会という場で説明責任を果たすような動きにはなりませんでした」(2025年1月22日、朝日新聞)
国会は国権の最高機関ではないか。
日本維新の会も国民民主党も自民党政治を根本から変えようとは思っていない。
岸田文雄・自公政権が、「国家安全保障戦略」(いわゆる「安保3文書」の1つ)で、憲法違反の敵基地攻撃を打ち出したことにも無反応だ。
日本維新の会も国民民主党も、自党の都合しか考えない。