この「記録集」の概略を知るために、冒頭の高木一彦弁護士の「弁護団の全体的総括」を読んでほしい。
高木弁護士は言う。「高江でのヘリパッド建設に、非暴力で抵抗を続ける高江の住民とそれを支援する市民たちに対し、全国から派遣された機動隊員500人が苛烈な弾圧を加えた。本訴訟は、そのあまりのひどさに何かできないかと考え、さらに、警視庁機動隊の派遣に自分たちの税金が使われていることを知り、そんなことを認めた覚えはないとした東京の市民によつて闘われた」 |
高江には、私も何度も通った。2つの思い出がある。
1つは、名護バスセンターから高江までのバスである。始発だったせいか、乗客は私一人だった。高江に近いある所でバスを止めて運転手が言った。「ここから見える海が1番きれいなんです」
もう1つは、ヘリパッド建設反対7周年の高江の集会だ。
この集会で沖縄を代表する歌手、古謝美佐子が言った。「父は(嘉手納)基地のなかで米軍兵の車ににひかれて即死した。けれども、子どもを育てるため基地で働かざるをえない母がいた。そんな背中を見て育ってきたわけだから、思っていても口に出せなかった。しかし、娘たちが結婚し、孫ができてから、もうこれ以上、口にテープを張るのはやめようと思った」
そんな話だった。今も忘れることができない。
高木弁護士は、「日本が平和国家であるとの幻想は沖縄を犠牲にすることによってなりたっている」との故・新崎盛暉の論を引用しつつ話を進める。
高木弁護士は最後にこう結ぶ。
「大きな団体や労組の支援によつてではなく、東京の各町に暮らす一人一人の市民が、声を掛け合い支えあって、やり遂げたものであつた」
「これらの市民的連帯は、困難な時代を貫き、いつの日か、必ずや大きな実りを結ぶと私は信じている。」
′
多くの人たちに読んでほしい「記録集」だ。