オスプレイが沖縄の空を飛んでいる。
昨年11月29日に、米軍横田基地の米空軍CVー22Bオスプレイが鹿児島県の屋久島沖で墜落。乗員8人全員が死亡した大事故からわずか4ヶ月しか経っていない。
大事故の原因も明らかにしないまま、傍若無人の振る舞いだ。
早くも苦情が殺到している。オスプレイが配備されている米軍普天間基地の周辺、宜野湾市や県都・那覇市では「眠れない」などの苦情が殺到した。沖縄県は県民の苦情にこたえるべく、懸命の努力を続けている。
米軍普天間基地には、日米両政府が1996年3月に日米合同委員会で合意した「航空機騒音規制措置(騒音防止協定)」がある。
そこには午後10時から午前6時までは飛行を制限するとあるが、同時に「部隊司令官は……努力を払う」とも書かれており、要は米軍次第なのが現状だ。
墜落の危険もある。国民の命や健康を犠牲にしても米軍の訓練を優先するのが岸田政権。これが日米関係の実相なのだ。
米軍オスプレイは2012年10月1日、日本で1番早く宜野湾市の米軍普天間基地に配備された。
だが、沖縄の人々が黙って受け入れたわけではない。オスプレイ反対の大闘争に立ち上がった。
米軍普天間基地には大山、野嵩、佐真下の3つのゲートがある。沖縄の人々はその3つのゲートを封鎖して闘った。そのことは「普天間を封鎖した4日間」として、今に語り継がれている。
オスプレイの沖縄配備に先立って、防衛省が公表した「MV-22オスプレイ-米海兵隊の最新鋭の航空機」という説明書がある。「MV-22は着陸時を除いて、CH-46より騒音レベルが低く…」と書かれ、いまも防衛省のホームページで公表されている。
しかし、沖縄県内に騒音測定器を設置して記録している渡嘉敷健琉球大学准教授は防衛省の見解を否定してこう言う。
「オスプレイは、CH46 の代替機として 地元の負担軽減への貢献を期待したが、そうではなかった。騒音測定の結果、CH46 の騒音レベル8.2dB(デシベル)に対してオスプレイは、82.6dBと14.4dBも大きいと分かった。さらに、低周波音は環境省の閾値を20Hz(ヘルツ) で上回っており、40Hz,63Hz では、辺野古アセスの環境影響評価書の心理的影響の閾値を上回る測定結果が得られた。CH46 ヘリコプターをオスプレイに置き換えることは、沖縄県民、普天間飛行場周辺の住民にとっては負担が倍増したことになる」
オスプレイは開発段階から事故が多かった。当時の森本敏・防衛大臣が「未亡人製造機」と呼んだほどだ。欠陥機オスプレイーーそれをほめたたえる防衛省・自衛隊は日本人の常識から外れている。
沖縄県議会をはじめ、名護市議会など沖縄のあちこちの市町村議会で、オスプレイ飛行再開に反対する「抗議決議」を挙げている。それも「全会一致」で。
オスプレイの地元・宜野湾市議会の「オスプレイ飛行再開に対する抗議決議」はその理由をこう述べる、「自治体や県民に対し、充分に納得できる説明もないまま住宅地上空での飛行を再開させた。この3か月間において米軍や防衛省から詳細な事故原因が明らかにされていないままの飛行に不安は拭いきれない」
日本の防衛省・自衛隊もオスプレイを配備している。木更津駐屯地と佐賀空港に、だ。
しかし、アメリカに詳しい沖縄県ワシントン事務所の現地報告や沖縄県はアメリカ以外にオスプレイを購入している国は、世界広しといえども日本ただ1国と証言する。
第二次世界大戦の敗戦国も、ヨーロッパの同盟国も、アジアの国々も。どの国も欠陥機オスプレイを買ってはいない。アメリカから押し付けられてはいないのだ。
日米安保条約を中心とする日米安保体制はアメリカが主で、日本が従の関係だ。アメリカのためなら、沖縄県民・日本国民の命や健康はどうでもいいというのだろうか、岸田政権は。