沖縄のいま

金城武政:みなさん、沖縄に力を貸してください

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「辺野古訴訟」で最高裁判決は政府に味方しました。この判決に対し「行政権のチェックという司法の役割を放棄し、憲法に記された地方自治の本旨も軽視して政府の政策を追認した。将来に禍根を残す判決だ(朝日新聞9月5日付社説)という厳しい批判がある。判決を受けて政府は「代執行」をもとめて提訴した。裁判で争われるのは「公益」だ。
なぜ辺野古新基地建設に反対するのか、などについて辺野古で暮らす金城武政さんに聞いた。(文責・星英雄)

代執行訴訟で玉城知事は「県民の民意こそが公益だ』と主張した。私もその通りだと思います。

県知事選や県民投票で沖縄は、辺野古新基地建設反対の民意をはっきりと示してきました。沖縄の民意を踏みにじることを、公益というのですか。

私は辺野古新基地建設はいつまでも完成しないと思っていますが、辺野古新基地建設が実現した場合、最も被害を受けるのは私たち辺野古の住民です。

辺野古サポートの稲葉博さんの案内で国道329号線の工事現場を見に行った。=美謝川切り替え工事、暗渠にして国道329号線の下を通す

今も、キャンプ・シュワブという米海兵隊の基地があります。海兵隊の実弾射撃訓練は久志岳に向かって実弾を打ち込みます。山林火災が発生するだけでなく、実弾射撃訓練の音はすさまじく、家屋を揺さぶります。そして、基地から飛び立つオスプレイの騒音や墜落の危険にいつも悩まされています。

航空機の安全のために高さ制限があります。米国防総省の基準や日本の航空法に定められています。

ところが、国立沖縄高専の校舎や学生寮、それから久辺小中学校などが、高さ制限に抵触しているにもかかわらず、辺野古に新たな基地を作るのです。

アメリカ国内ではありえないことです。特例扱いをした結果、沖縄の教育の現場が米軍機におびえることになるのです。

辺野古の住民に人権はいらない、と政府は言うのですか。

大浦湾の海底には、軟弱地盤があり、7万本以上の杭を打ち込む必要があることは政府が認めていることです。

軟弱地盤があることが、政府の埋め立て計画の最大の弱点です。最近も、政府は古い基準で耐震設計をしていたことを、共産党が暴露しました。

辺野古新基地建設が実現しないだけでなく、工法も間違っているために、主権者国民である辺野古・沖縄の住民生活を破壊します。杭を打てば、辺野古周辺はその振動で崩れていくと思います。新基地内の弾薬庫も崩れます。辺野古は湧き水に悩まされると思います。

いま、アメリカなど外国の人たちや「本土」から辺野古に多くの人たちがやって来ます。私は、その人たちを辺野古・大浦湾の埋め立ての現場に案内することにしています。

辺野古・大浦湾は、日本初の「ホープ・スポット」(希望の海)です。

現場を見た外国の人たちは「こんな美しい海を埋め立てるなんて信じられない…」と絶句します。そして態度がガラリと変わります。それは、日本の人たちも同じです。

埋め立ての現場に連れて行くのは、お願いの気持ちからです。「皆さん、力を貸してください」と。

金城武政さん

辺野古新基地建設は海の自然を破壊するだけでなく、陸の自然をも破壊しています。

国道329号線をはさんで、美謝川の切り替え工事と新基地内につくられる予定の弾薬庫の機能強化工事が進められています。あたり一帯の自然を破壊しながら。座り込みの現場から国道329号線を少し名護市中心部に寄ったあたりです。

美謝川は大浦湾に注いでいるため、埋め立てが進めば美謝川の行き場がなくなるからです。辺野古新基地につくられる弾薬庫は、海兵隊によれば「13の弾薬庫を取り壊し、12の新たな弾薬庫と武器の組み立て区画とする」と琉球新報は報道しています。

どちらも、周囲の貴重な自然を破壊しながら工事を進めています。

日本の司法は政府の方を向いています。沖縄の玉城デニー知事はいまも辺野古新基地建設反対の立場を貫いています。

どうか皆さん、沖縄に力を貸してください。

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