沖縄のいま

星英雄:オール沖縄って何だろう

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沖縄県知事選は玉城デニー氏が当選して終わった。3人の候補者の中で、玉城氏だけが辺野古新基地建設反対を明確に打ち出していたのだから、辺野古新基地建設反対の民意が示されたことは明らかだ。

軟弱地盤の問題も浮上して辺野古新基地建設は実現しそうにない。政府は沖縄の民意を尊重して、辺野古新基地建設を断念すべきだ。

他方、今度の知事選で玉城氏は前回よりも約6万票も減らした事実がある。それでも当選したのは、衆目の一致するところ,、保守票が割れたこと、そして統一教会批判があったことが大きい。

とはいえ、玉城氏当選で万々歳とはいかない。知事選が終わって思うことは、「オール沖縄」とは何だろう、ということだ。

翁長元知事の側近だった2人の人物、安慶田光男元副知事と平良朝敬元沖縄観光コンベンションビューロー会長は早くに「オール沖縄」を離脱した。

金秀グループの呉屋守將会長も「オール沖縄」を退会した。

オール沖縄の城間幹子那覇市長は、「市長選は自公政権対オール沖縄の構図でなくてもいい」と発言した。辺野古新基地建設反対は後任市長の条件ではないという。

以上の事実だけでもオール沖縄は危ういと思うが、それだけではない。玉城知事にも重大な問題がある。那覇軍港を浦添市に移設することを容認している問題だ。

2020年9月の県議会。公明党県議が「翁長前知事は2016年12月議会で移設容認を表明」したが玉城知事はどうか、と迫った。

玉城知事は「那覇港湾施設(那覇軍港)の返還が実現されれば、基地負担の軽減、跡地の有効利用による発展に寄与する」として、那覇軍港の浦添市への移設を認める答弁をした。

那覇軍港の浦添移設は、米軍基地の県内たらい回しとして、地元の市民運動、市議会でも批判されてきたことは意に介さないらしい。

1996年、日米特別行動委員会(SACO)合意は普天間基地の県内移設を明確にした。しかし、それは米軍基地の県内たらい回しだとして、沖縄県民・名護市民の強い反対にあい、それが今日に続く辺野古新基地建設反対運動ではないのか。

遊休化が指摘されていた那覇軍港に米軍はオスプレイを飛来させるようになった。浦添移設後も、基地として自由に使えるようにする布石に他ならない。県は激しく抗議したが、それでも浦添移設容認を見直すことはなかった。

米軍普天間基地の代替施設としての辺野古新基地建設に反対して、那覇軍港の浦添移設に賛成するとは、常人には理解できない。

昨年4月、「オール沖縄会議」の福元勇司事務局長を取材した。那覇軍港の浦添移設問題などの質問にこう答えた。「これまで議論していないし、今後議論する予定もありません」。その理由として「建白書がテーマとしていることとは異なる」と言い切った。

1時間ほどの取材を終えて、筆者はこう理解した。「要はオール沖縄の中の、保守層が離れることを恐れているのだ」と。誤解を恐れずに言えば、オール沖縄の実体である「オール沖縄会議」は保守層が「ウン」という範囲でしか動けないと。

建白書は①オスプレイの配備撤回②米軍普天間基地の県内移設断念、の2つの要求項目とともに、「復帰40年目の沖縄で、米軍はいまだ占領地でもあるかのごとく傍若無人に振る舞っている」「沖縄県民総意の米軍基地からの『負担軽減』を実行していただきたい」との文言も明記している。

それにもかかわらず「議論できない」というのである、

「オール沖縄会議」は何を考えているのだろう。米軍基地の負担軽減は沖縄県民の総意なのに、なぜ議論できないのだ。「オール沖縄会議」は沖縄県内の政党、市民・平和団体、企業、労働組合を集めては2015年12月に発足した。共同代表には、呉屋氏も名を連ねていた。

筆者はこれまでに、県政与党の沖縄の責任者3人に取材した。そのうちの1人は、翁長知事に注文をつけたら翁長知事にこう切り返されたそうだ。「そんなこと言ったら保守はついていきませんよ」。結局、「引っ込むしかなかった」というのだ。

オール沖縄は正念場を迎えている。

米軍基地の負担軽減は沖縄県民の悲願である。米軍基地の県内たらい回しは、許容できない。どんな組織においても、言論の自由は保障されるべきだ。批判の自由がない組織に発展はない。

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