沖縄のいま

星英雄:市民に隠れて、辺野古ダムのボーリング調査・美謝川の河口変更・水路切り替え工事を進める菅政権と名護市

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2021年元旦は、辺野古の浜で座り込みをはじめてから6102日目。抗い闘い続ける辺野古の皆さん、全国の皆さんに敬意を表する。いま名護市では、美謝川の河口変更のための水路切り替え工事をめぐって、市民vs菅政権(沖縄防衛局)・名護市の闘いが熾烈になっている。美謝川の河口を変更しないと大浦湾の埋め立ては出来ないからだ。渡具知市長は菅政権言いなりで新基地建設に道筋をつけようとしている。

辺野古の金城武政さんの案内で、辺野古ダムを見に行った。2020年12月4日、雨が降ったり止んだり、時折強い風が吹く、寒い日だった。辺野古新基地建設に抗議するゲート前のテントから、国道329号を名護市街方向に数分、歩いたところに辺野古ダムはあった。周りは、米軍基地キャンプ・シュワブに囲まれている。

〈辺野古ダム〉

辺野古ダム正面に「関係者以外の立ち入りを禁ず」という名護市水道部の看板。少し歩き、茂みに隠れたところから辺野古ダムを見ると、湖面にオレンジ色のフロートが浮かんでいる。その近くにはボートに乗った2人の人物も確認できた。菅政権(沖縄防衛局)と名護市長が市民不在のまま、辺野古新基地建設を強行するために実施しているボーリング調査の現場だ。

辺野古ダムは名護市東海岸地域に給水する重要な貯水施設だ。市民は水道水・飲み水として今も利用している。美謝川は辺野古岳から辺野古ダムを経由して、米軍キャンプ・シュワブを通って大浦湾に注いでいる。

辺野古新基地建設は当初、大浦湾に流れ出る美謝川の河口部を埋め立て、せき止める計画だった。だがそれでは、辺野古ダムの水が行き場を失うため、河口・水路の変更が必要となる。

後日、担当の「名護市環境水道部浄水場係」に問い合わせた。オレンジ色のフロートは「汚濁防止枠、ダム内が濁らないための対策です。その隣でボーリング調査をしています。事業主は(沖縄)防衛局」ということだった。さらに細かく聞くと「事業に支障が生じると良くないので、詳しくは言えない。防衛局にきいてほしい」というだけである。市民より、防衛局のほうが大事だというのだろうか。

沖縄防衛局も「名護市や地権者と調整のうえで実施している」というだけの、きわめて簡単な説明だった。名護市と同様、沖縄防衛局も市民をないがしろにしている。

この辺野古ダムで、菅政権(沖縄防衛局)に名護市が協力して進めるボーリング調査、市民は怒っている。

〈市が定めた条例を無視するボーリング調査〉

辺野古ダムは市民の水道水の水源だ。市民はこの水を、飲み水をはじめとする生活用水として利用している。「地権者」だけではない。名護市はすべての市民に対して、安心・安全な水を供給する義務を負っている。

ところが名護市も沖縄防衛局も、名護市民に対する責任を果たそうとする意思はみじんもないようだ。100戸程度のマンションでも、水槽の点検・整備の場合、事前に「告知」があるが、ボーリング調査について、名護市も沖縄防衛局も市民には知らせない。主権者市民に対し、ボーリング調査の目的や内容について説明責任を果たさない。

水源がボーリング調査で汚濁すれば、住民は悲惨なことなる。名護市や沖縄防衛局は市民の安全、暮らしを守るつもりはないのか。

ボーリング調査は、沖縄防衛局が勝手にやってよいものなのか。名護市が防衛局の好き勝手にさせてよいものなのか。名護市は「協議は不要」としているが、市民に対する責任放棄ではないか。

名護市の「法定外公共物管理条例」では、辺野古ダムの「構造又は機能に支障を及ぼすおそれのある行為」は、名護市に政府との協議を義務づけている。
一般の事業者なら、許可されないことをやっているのに、名護市は放任しているのだ。

そもそも「普天間飛行場代替施設建設事業に係る協議について」という2014年の名護市と沖縄防衛局の間で交わした文書には、「辺野古ダムの湖面全域も条例の対象」と明記されている。「協議」すらしないで、沖縄防衛局(菅政権)の勝手でしょうと放置する名護市は、市民にたいする責任放棄だ。市の条例を無視しては、独裁ではないか。

美謝川は、一級河川、二級河川、準用河川のいずれでもなく、普通河川だ。普通河川は、市町村が管理する。美謝川切り替えの権限は名護市長にある。

稲嶺進前市長は市長権限を行使して、美謝川の切り替え工事は認めない考えだった。そのため防衛局は2014年に市の許可が不要になる設計変更申請を県に提出したが、結局、申請を取り下げた経緯がある。

菅政権は、河口変更は辺野古新基地建設に不可欠なものとして重視している。

辺野古新基地は辺野古・大浦湾を埋め立てて造る。辺野古・大浦湾一帯は世界的にも豊かな生物多様性を誇り、国際的にも有名だ。日本では唯一のホープスポットに選ばれている。新型コロナウイルス感染症は、人間の命を守らない旧来型の安全保障を問い直す一大契機となっている。辺野古新基地も人間の命、人間の尊厳を守らない。

新基地に直結する辺野古ダムのボーリング調査に、抗議の声が広がっている。辺野古有志の会とティダの会は美謝川の河口変更・水路切り替え工事について、許可しないよう求める要請書を渡具知武豊市長に手渡したり、沖縄防衛局への要請・抗議活動を活発におこなっている。それに続けとばかりに、オール沖縄会議や島ぐるみ会議も抗議活動を展開、名護市役所前で緊急集会開いたりしている。

〈「民の上に・・・」は、日本国憲法の「国民主権」の精神だ〉

名護市議会も市民の意向に沿って、ボーリング調査の中止を決議した。12月21日、「辺野古ダムでのボーリング調査の中止を求める」沖縄防衛局長宛ての意見書と、名護市長宛の決議を賛成多数で可決した。決議内容は「辺野古新基地建設に伴う美謝川の付替工事、特に洪水吐きの造成工事のための調査であることは明白」「辺野古ダムから給水を受けている東海岸地域住民の安心・安全な水を確保するため」などとしている。

市民を無視する渡具知市長は、市議会でも厳しい事態に直面した。12月21日、名護市議会は渡具知武豊市長の意見(案)を否決したのだ。市長の意見は沖縄県が政府(沖縄防衛局)の埋立地用途変更・設計概要変更承認申請書に対する県の求めに応じるためのものだった。公有水面埋立法は市長の意見を徴すること、市長の意見は「議会の議決」が必要だとしている。

ところが渡具知市長の意見(案)は、辺野古の作業ヤード用の埋め立て取りやめについて「異議はない」とするが、軟弱地盤には触れないものだった。「軟弱地盤」の弱点は避けて通ろうとする態度が見え見えだった。

渡具知市長は、市民の意見も無視している。政府(沖縄防衛局)の埋立地用途変更・設計概要変更承認申請書に対し沖縄県知事は意見を求め、名護市在住者から提出された意見書は579件。すべてが新基地建設に否定的だった。名護市は、沖縄県に市民の意見内容を求め、確かめたにもかかわらず、わざと市民を無視したのだ。きわめて悪質だ。

県が求めた回答期限は来年3月26日なのに、早々と意見(案)を議会にはかったことも問題だ。野党(新基地建設反対議員)はその拙速を指摘したが、市長は「市民の意見を聞く法律はない、義務もない。だからできない」とまで議会で答弁した。

ところが、与党の一人が市長意見(案)の取り下げを求める異例の展開となったのである。その背景として、防衛局は地盤を改良した後は、住民のための緑地をつくると公言していたのに、そうではなかったという現実がある。そのため、住民に不満が募っていると指摘されている。

渡具知市長は、辺野古新基地建設に対して「賛成」でもない、「反対」でもないと主張して当選した。歴代市長で、賛否を明らかにしなかった市長はいない。しかし、米軍再編交付金を受け取ってきたこと、大浦湾埋立てのためのボーリング調査を認めるなど、実は新基地建設賛成だ。ボーリング調査も、市議会で否決された市長意見(案)も、菅政権の意向に沿って動いている。

渡具知市長が受け取っている再編交付金とはどういうものなのか。2018年2月、当時の小野寺防衛大臣が国会の予算委員会でこう説明している。「再編交付金は、再編特措法の規定に基づき、駐留軍等の再編による住民の生活の安定に及ぼす影響の増加の程度等を考慮」して交付する──と。米軍基地を受け入れれば、事故・事件などさまざまな否定的影響が出る、その見返りとしてのカネなのだ。カネを出すから基地被害は我慢しろ、というのが菅政権なのだ。

美謝川の河口変更・水路切り替え問題に早くから取り組んできた大城敬人名護市議はこう指摘する。「美謝川の河口・水路を変更しないと大浦湾の埋め立てはできない。その権限は名護市長が握っている。辺野古新基地の実現を許すか許さないかはこの問題にかかっているんです。だから前回の市長選で、菅官房長官(現首相)が2度も名護入りして、直接選挙を指導、渡具知市長を誕生させたのです。しかし、辺野古や名護市民は屈しなかった。次の市長選こそ、新基地建設反対の市長を誕生させたい」

次の名護市長選挙は2022年2月。すでに1年後に迫っている──。78

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開店直後の「Heaven Heaven」で、辺野古そばを食べた。おいしかった。自家製麺で、汁もうまい。水の替わりに冷えた月桃茶が無料で飲めるのも、うれしい。

コーヒーも注文した。名のあるカップに注がれて、カウンターに並んだ。

店主は東京でラーメン店を経営していた女性だ。店のつくりも、「辺野古らしからぬ」洗練されたもの。辺野古の「新名所」になる予感がする。

ゲート前で座り込む人たちは大歓迎という。昼食時、疲れた心身を癒すことも必要だ。1度足を運んでみてはいかが。

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