激戦の沖縄県知事選が告示された。13日、辺野古新基地建設阻止を訴えるオール沖縄の玉城デニー候補は伊江島で出陣式を行い、那覇市での第1声は夕闇迫る県庁・県民広場前だった。
「皆さんや子・孫たちのために、この選挙戦を未来への懸け橋としていっしょにがんばっていきましょう」と支持者に呼び掛けて玉城候補の第1声は始まった。米軍が銃剣とブルドーザーで住民を追い払い、基地を拡充したり、新たに造ったことに沖縄県民は島ぐるみで闘った、その発火点が伊江島だったと、伊江島での出陣式を説明した。
辺野古新基地建設反対の玉城候補は、経済面でも相手候補との違いを強調した。相手候補は政府の補助金頼みで給食費や保育料の無償化をいっているが、それは基地を認める約束があってのことだ。しかし沖縄はすでに補助金頼みではない。沖縄は農業の就業率は全国1位。観光産業と結び付ければ、自給率と就業率を上げることができる。沖縄は大きな力を持っている、と訴えた。
政府に頼らないウチナーンチュは、自主自立の力を持っている。若い人たちをバックアップするアイデンティティーを持っていることを、若い人たちにも実感してもらおう、と呼びかけた。
一方、この日午前、出陣式をすませた自民党丸抱えの佐喜真候補。演説の冒頭は「県民所得を300万円まで上げる努力をする」だった。そして、「対立と分断からは何も生まれない」などと「オール沖縄」勢力を批判してみせた。
しかし、基地は経済を発展させるのか。補助金頼みであることは明白だ。新都心の発展など生きた実例をみれば「米軍基地こそ沖縄の経済発展の最大の阻害要因」であることは、今や県民の常識となっている。
佐喜真候補がいう県民の「対立や分断」については、4年前の県知事選の様子を思い出してほしい。わずかばかりのカネ(予算増)で、「いい正月を迎えられる」といって、当時の仲井真知事が辺野古埋立を承認し、「県外移設」を掲げて当選した沖縄選出の自民党国会議員が安倍自民党総裁・石破幹事長にねじ伏せられて辺野古新基地建設容認に転じた。「対立や分断」は、仲井真元知事や自民党国会議員たちの裏切りからはじまったのだ。
その仲井真元知事が、佐喜真候補の後見人のようだ。県民が強く反対しても、新基地建設を強行する安倍・自民党丸抱えの佐喜真候補。弁士の公明党幹部は名護市長選のように「期日前投票」を力説した。
辺野古新基地建設を阻止し、沖縄の豊かな未来をきりひらくことこそ、この県知事選の最大の意義である。