6月11日、一つの法律が成立した。日本学術会議法。
現行の学術会議法の前文にはある「わが国の平和的復興、人類社会に貢献し」という文言が消えてなくなった。
この法律は独立性の保障がないどころか、首相が任命する「監事」を置いて業務内容を監視する。
自公両党は衆院で少数与党である。日本維新の会の賛成なくして成立しなかった。選挙の時は野党面して、実際は与党のごとく振舞う日本維新の会を許すな!!
日本国憲法23条は「学問の自由は、これを保障する」とうたっている。
何故、憲法に「学問の自由」が盛り込まれたのか。戦前の日本では、1933年の滝川事件、1935年の天皇機関説事件などの学問を弾圧する事件があったのだ。
日本学術会議自身、戦争への協力の反省から、生まれた。
事の発端はこうだった。
当時の菅義偉首相は2020年10月、学術会議が推薦した6人の任命を拒否した。それまでは、「任命は形式的で、推薦された候補者をそのまま任命する」というのが政府見解だった。
任命を拒否された6人は、安保法制や改憲の動きに批判的だった。このことが問題の真相を明らかにしている。
学術会議法の担当大臣は、新法では「会員は解任できる」と国会で答弁している。
そもそも任命拒否の理由が黒塗りだったのだ。
これに対し、今年5月16日、東京地裁は黒塗り文書の開示を命じた。
ところが、菅政権も、それ以降の政権も従おうとはしない。異常な事態が続いている。
「憲法が国家権力を統制する」ことは世界の常識だが、日本ではそうなっていない。
それどころか、首相の長男が務める放送事業会社「東北新社」が監督官庁の総務省幹部を接待していた問題も明るみに出た。
菅政権は、わずか1年の超短期政権だが、安倍政権から引き継いだ「内閣人事局」をバックにやりたい放題だった。
「外部の意見を聞くことは必要だが、幾重もの足かせは異常だ」と朝日新聞は6月12日の社説で書いた。毎日新聞も6月12日の社説で「政府の『御用機関』にしてはならない」と報じた。
学者や研究者からは法人化への批判があいついでいる。
国会前での座り込みでは、上野千鶴子・東大名誉教授が、アメリカのトランプ政権による学問への攻撃を指摘、「権力者は異論をきらう。対岸の火事ではない」と廃案を求めた。言論の自由や、民主主義にも危機が及ぶと訴えた。
こんな悪法が、日本維新の会の賛成で成立したのだ。日本維新の会を許すな!!