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星英雄:日米安保条約とはどういうものか

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アメリカのトランプf大統領は関税政策で世界を激震させている。日本の石破茂・自公政権は対応におおわらわだ。

そのトランプ大統領は、日米安保条約について「我々は日本を守らなくてはならないが、日本は我々を守る必要はない」と不満を示す。

まず、言わなければならないことは、日米安保条約は日本国憲法に違反していることだ。

日本国憲法は前文と第9条で戦争放棄をうたっている。それに照らせば、日米安保条約は、憲法に違反していることは明らかだ。

現行の日米安保条約を成立させた岸信介元首相も、日米安保条約の次は「改憲」だと明言している。(『岸信介証言録』(原彬久編、毎日新聞社2003年4月)。

つまり、憲法をかえない限り、日米安保条約は憲法違反だ。憲法が国家権力を統制するのだ。これが世界の常識だ。

軍事同盟、とりわけ日米安保条約は、領土を守るものであっても、人間の命を守るものではないことを明白にしておきたい。

そのことは、「台湾有事」の際に、戦場になるのは日本、とりわけ、沖縄の与那国島、石垣島など先島諸島であることに明白に示されている。

政府はすでに計画を公表している。先島諸島からおよそ12万人を6日程度で避難させ、九州と山口県のあわせて32の市と町で受け入れるなどの計画を明らかにしている。戦場になるのは日本だ。アメリカではない。

これが日米軍事同盟、日米安保条約の実態なのだ。

トランプ大統領は日本がアメリカを守る必要がないというが、その見返りとして、日米安保条約第6条は日本が米軍基地を提供することを明記している。

条約上は、アメリカが日本を守ることと日本が米軍に基地を提供することとが対になっている。

日本国民の多くは知らないだろうが、基地は沖縄に集中させられて、米兵による犯罪は日常的に行われている。とくに、1995年9月の少女暴行事件以後も米兵による女性暴行事件は絶えない。沖縄はまるで、アメリカにとって何をやっても許される「植民地」のようだ。

3つの「法学会雑誌」がある。第51巻第1号、第51巻第2号、第53巻第1号だ。2010年から2012年にかけての雑誌だ。

「首都大学東京法学会編集 首都大学東京都市教養学部法学系発行」とある。

「首都大学」とは、いまの都立大学のことだ。

首都大学の研究者によるとアメリカの憲法は、議会に宣戦の権限と軍の編成や規則を制定する権限を認める一方、大統領は軍の最高司令官と規定していて、二つの関係が明確になっていないとある。

日米安保条約第5条には「自国の憲法上の規定及び手続に従つて共通の危険に対処する」とある。つまり、大統領がかりに「日本防衛」に動こうとしても、議会は反対することもある、ということだ。

これも条約上の規定だ。

トランプ大統領はこうも言う。「日本は何も支払わない」

石破首相の特使として対米交渉に臨んだ赤沢亮正経済再生大臣にトランプ氏は再日米軍の駐留経費の負担増を求めたことが明らかになっている。

さらに赤沢氏はMAGA(アメリカを再び偉大に)の帽子をかぶり、両手の親指を立てる写真がトランプ政権によって公開された。トランプ政権にとって日本は従順なため最初の相手に選ばれたという。

なにが「交渉」か。石破政権よふざけるな!

虚言癖のあるトランプ氏だが、駐留経費の負担増を求めるとは聞き捨てならない。すでに「思いやり予算」だけでも、いろんな名称を付けて、8兆円を超えている。

「思いやり予算」とは、日米地位協定(正式名称は「日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第6条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定」)24条で定められた日本側の負担分を超えて日本側が追加的に負担する経費のことだ。

当時の金丸信防衛庁長官が、日本が負担する根拠がないため「思いやり予算」といって、1978年度から始まった。その総額は8兆円を超えているのだ。

基地が集中する沖縄では、水道の水が米軍によって汚染されても米軍基地内への立ち入り調査は拒否されたままだーーまさにアメリカの属国日本なのだ。

日米安保条約は、日本国民とって何なのか。あらためて考える必要があると思う。

 

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