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星英雄:靖国神社とは何か

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石破茂首相は4月21日、東京・九段の靖国神社の春季例大祭に、「内閣総理大臣 石破茂」名で「真榊(まさかき)」を奉納した。

みんなで靖国神社に参拝する国会議員の会(会長=尾辻秀久・前参院議長)の衆参議員72人が、4月22日靖国神社を参拝した。

みんなで靖国神社に参拝する国会議員の会は衆参の議員連盟で、1981年に結成。春と秋の例大祭や終戦記念日の8月15日に靖国神社へ参拝することが目的。自由民主党や立憲民主党、日本維新の会、国民民主党、参政党などの国会議員で構成する。

いったい、靖国神社とはどういう神社なのか。

靖国神社を語るとき、第二次世界大戦を外せない。靖国神社は、国家のために命をささげた死者を「英霊」として祭っているからだ。明治維新以降とくに第二次世界大戦の死者を、だ。

一橋大学名誉教授の藤原彰氏は、『餓死(うえじに)した英霊たち』のなかで、第二次世界大戦の「英霊」の実態を明らかにしている。(以下「」内は同書からの引用)

「日本軍戦没者の過半数が餓死だった」「ある戦場の特別な事例なのではなく、全戦場にわたって起こっていた」

「補給の不足または途絶による戦争栄養失調症が常態化し、それによる体力の低下から抵抗力を失って、マラリア、赤痢、脚気などによる病死、つまり広い意味での飢えによる死、餓死を大量発生させたのである」

「人口豊富なフィりピンやビルマや、さらに中国本土においてでさえも発生して、死因の最大を占めている」

「偶然の事情が重なって起こった不可抗力の事件ではない。日本軍に固有の性質や条件が作り出した人為的な災害なのである」

「戦死者の大量発生が特別な場合なのでなく、日本軍の戦場ではどこでも起こっていたのはなぜか」

「彼らは作戦目的が至上で、兵站や補給、給養や衛生はすべて作戦に奉仕すべきだとしていた」

「まず第一に作戦目的があり、目的達成目的達成のために計画が立てられるが、そのさい輸送補給、給養や衛生といった軍隊生存の必要条件までもが作戦優先主義のために軽視または無視された」

「日本の作戦には補給の重要性についての認識がまったくなかった」

「兵士の生命を病気や飢えで失うことへの罪悪感が欠けていた」

「こうした日本軍の特質をもっともよく示しているのが、捕虜の否定と降伏の禁止」

「無限の可能性を秘めた有為の青年たちを、野垂れ死にとしかいいようのない無惨な飢え死に追いやった責任は明らか」

「英霊」とは名ばかりで、軍によって殺されたのである。

『餓死した英霊たち』は、結論として言う。

「『靖国の英霊』の実態は、華々しい戦闘の中での名誉の戦士ではなく、飢餓地獄の中での野垂れ死にだったのである」

日本軍がどれほど人間の命を軽視していたか、特攻」の例をあげるまでもない。

これが、1931年9月18日の満州事変以降の、日本の侵略戦争がもたらした結末であった。

自衛隊が、旧日本軍思想の靖国神社と接近している。

靖国神社トップの宮司に初めて元自衛隊幹部の海将が就任した。

自衛隊幹部らの集団参拝が明らかになったとき、朝日新聞は「憲法が定める『政教分離』に抵触する」と報じた。(2024年2月25日)

自民党はこれまでなんども靖国神社を国営化する法案を提出してきた。

靖国神社は東京裁判でA級戦犯になった東条英機元首相ら14人を「英霊」としてまつった。

日本国憲法は第20条で「政教分離」の原則を明示しているにもかかわらずーー。

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