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星英雄:総選挙について考える

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10月15日、衆議院選挙が公示された。投開票日は27日、戦後2番目の短さだ。石破茂首相には、野党の足並みがそろわないうちにやってしまえという意図が見える。

石破茂首相(自民党総裁)は何者であるかを見極めることは、総選挙を理解することに通じる。検討をはじめよう。

多くの人は、石破氏は豹変したという。

何が、どう変わったのか。まずは、それを見ておこう。

最初に、衆院解散について。

自民党総裁選の時は「本当のやり取りは予算委だ」と語っていた。その意味は、予算委員会で野党と議論をし、国民に争点をはっきりさせてから解散だ、と言っていたのだ。

石川県・能登地方は地震に続いて豪雨に襲われて選挙どころではない。「国として最大の努力をしたのか」「私たちは見捨てられている」の声が聞こえる。

石破首相よ! 能登のことを考えるなら、選挙どころではないはずだ。

それなのに、予算委員会を開かずに解散した。党利党略以外の何物でもない。

裏金問題ではどうか。

自民党総裁になる前は、公認の是非について「選挙対策委員会で徹底的に議論されるべきだ」と発言していたが、結局、裏金議員の大半を自民党公認とした。

裏金で有罪になった薗浦健太郎元衆院議員の秘書だった人物は、裏金の使途について「選挙のためだった」と明かした。(毎日新聞10月17日付)

「政策活動費」についても、石破首相は2転3転した。公開義務がないのをいいことに、選挙には使わないといいだしたが、公開義務がないため、証明はできない。

安倍派の会計責任者は裁判で裏金について「幹部からの指示」を明言したが、石破首相はそれでも調査に動かない。

それどころか、石破首相の政治資金パーティーは、参加者の支払った額より受け取った額が少ないことが発覚した。

この手法は「安倍氏のところや二階氏のところと同じ」と上脇博之・神戸学院大学教授は指摘した(10月5日、TBS報道特集)。

石破茂首相は、自民党他派閥と同じ手法で裏金をつくっているというのだ。

官房機密費など選挙に使えるカネはほかにもある。国民に隠れて、カネを自由にできるのが自民党だ。

もともと、「ザル法」と言われる政治資金規正法を成立させたのは、自民党や公明党などだ。

いまになって、あれこれ言うのは「本音」を隠したいからに違いない。

選択的夫婦別姓導入について日本ほど遅れた国はない。

石破首相は選択的夫婦別姓導入について自民党総裁選の時は「実現は早いに越したことはない」としていたが、首相になってからは「さらなる検討が必要」に変わった。

牧原秀樹法務大臣は旧統一教会の関連行事に10回出席し、初立候補から今日まで選挙支援も受けていたことを自ら明らかにした。

石破内閣の副大臣、政務官は、旧統一教会側と接点があるものは24人もいる。

朝日新聞は9月17日付で、安倍晋三首相(当時)が自民党本部の総裁応接室で、旧統一教会会長らと面談していた事実を、証拠写真付きで報じた。

だが、石破・自民党は調査に動かない。

一事が万事、この調子だ。

毎日新聞は「首相への期待が裏切られたと感じる人が増えている」と報じた(毎日新聞10月5日付)。

日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)がノーベル平和賞を受賞した。世界中が祝福する中で石破首相は、アメリカの保守系シンクタンクのハドソン研究所に寄稿してこう言った。

ーーアメリカの核兵器を日本が共有すること、アメリカの核兵器を日本に持ち込むことーーを検討する。

安倍元首相そっくりだ。

石破首相は岸田内閣を引き継ぐという。そのことは岸田政権の林官房長官をそのまま引き継いだことでも明らかだ。

アメリカは岸田政権と同じように、石破政権にも優しくしているように見える。

石破首相は2日にバイデン米大統領と電話で協議し、日米関係を強化することで一致した。

翌3日には、エマニュエル駐日米大使と首相官邸で面会した。

エマニュエル氏は、4月10日の日米首脳会談で、バイデン大統領から岸田首相が「国賓」として招かれた理由について証言している。

なぜ国賓か。敵基地攻撃能力の保有、安全保障費の2%への増額、米製トマホークの購入、等々がその理由と言う。

つまり、岸田首相が戦後の安全保障政策を根本から変えたからだ、とエマニュエル米大使は言う。(産経新聞2024年4月5日付)

沖縄の問題を忘れることはできない。

石破氏は自民党幹事長時代の2013年11月、自民党本部で記者会見した。その横には、米軍普天間基地の辺野古移設反対を公約して当選してきた5人の国会議員が並んでいた。

その5人を、辺野古移設容認にさせたという記者会見だった。

結論

検討した結論を言うときが来た。

なんのことはない。石破茂首相は、自民党そのものである。

(9月9日掲載、「星英雄:日本の戦後はポツダム宣言の受諾から始まったー自民党総裁選に思うこと」を参照して下さい)

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