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星英雄:紙野健二 本多滝夫 徳田博人編『辺野古裁判と沖縄の誇りある自治一検証 辺野古新基地建設問題―』を読んで

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早々と「辺野古 県敗訴へ」「設計変更巡る訴訟」(沖縄タイムス8月25日付)が報じられた。琉球新報も全国紙も報道した。いわゆる辺野古訴訟で、沖縄県が最高裁でも敗北が決定的になったと言うのだ。

普通の人々にとって「法」はなかなか厄介だ。本書は大学教授や弁護士ら多くの専門家によって、政府とそれに追随する司法が徹底的に批判され、「沖縄の誇りある自治」が目指される。

本書は辺野古新基地建設反対運動を続ける全国の人々にとって必読の書と言える。

故翁長元知事が仲井眞元知事の埋め立て承認を取り消して以来、沖縄県は国(政府)との争いで司法の場で負け続けている。沖縄県敗訴の報道は「法や政治はだれのためにあるのか」を鋭く問う。

沖縄県が負け続ける1つの大きな理由が政府とそれに追随する司法による「私人なりすまし論」だ。

公有水面埋立法では、私人にはみられないような特権や権力性が国の機関に付与されている。

「私人の埋立事業に係る知事「免許」(公有水面埋立法2条)と異なり、国の機関の埋立事業に係る知事「承認」(同法42条)は、そもそも行政機関相互間でなされる行政内部行為であるとするのが公有水而埋立法の国の元々の解釈」と、本書は記す。

ところが、沖縄防衛局は「私人になりすまし」、裁判所はこれを追認したのだ。

沖縄防衛局は、辺野古新基地建設の埋立途上で大浦湾側に軟弱地盤が見つかったことを理由に、埋立設計概要の変更の承認を沖縄県に求めていたが、沖縄県(玉城知事)は22021年11月25日に不承認とした。冒頭の報道もこれをめぐるものだ。

本書は、ほかにも多くの問題を提起している。

裁判を通じて、国と裁判所が「日米同盟の信頼関係の維持の名の下で、地域の住民生活や住民の生命や人権に関わる問題について、どのような立ち位置にあるのか、どのような立ち位置をとろうとしているのか」を告発している。

「国は・・・新基地建設のためであれば何でもありの解釈論を展開してきた」のも事実である。それはまた、「司法は問題を真摯に解決する姿勢に欠け、やみくもに基地建設を進める政府と歩調を合わせるものであつたといわざるをえない」のも確かである。

本書のタイトルの一部となっている「誇りある自治」とは「正統性を失った(または失いつつある)国家(権力)と対抗し、国家(権力)を健全な国家(権力)とするために、いのちの地域思想を基盤として、住民の、住民による、住民のための自治を実践すること」と、本書は説く。

負けるな! あきらめるな! 辺野古新基地建設反対運動。

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