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井原勝介:自立する岩国をめざしたい

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岩国市は、神奈川県厚木基地から山口県米軍岩国基地への、アメリカの空母艦載機の移転を受け入れたことで知られる。かつて市長を務めた井原勝介・元市長に米軍基地問題や現市政などについて聞いた。(文責・星英雄)

──福田市政についてどうみていますか。

井原 米空母艦載機が岩国に来たことでも明らかですが、市政は180度、変わりました。いまの市政はおカネで国のいいなりになっていると思います。

2008年2月の市長選で負けて、残念な事態になりました。私は素手で闘ったようなものです。地方自治とは名ばかりで、カネと力で国に都合のよい市長をつくるのです。

いまの市長は岩国市民・住民の声より政府・自民党に従うのが基本スタンスです。

私は最初から米軍基地に反対ではなかったのですが、住民生活をよくすることを市政の基本に据えると、基地機能の強化に反対せざるをえません。

いまの福田市政は米軍再編交付金を受け取り、そのカネで箱物をつくり、医療費、教育費を無料にする。つまり、国の政策にのっかることで資金をもらい、市民の人気取りをするやり方だといえます。

──わかりやすく言えば、福田市政の核は米軍再編交付金だということですね。

井原 私は再編交付金は二つの役割があると思います。
1つは、市民の反感を抑える役割です。当然、基地が強化されることに市民は反対しますから、どうやって市民・若い人たちを取り込むかということです。再編交付金を財源にして、医療費・子どもの医療費を無料にするのはそのためだと思います。

もう1つは再編交付金を使っての公共事業です。公共事業で土建業者に利益を配分する。本当のまちづくり、市民のために使われるのではありません。市長の後援会長が土建業者なのはそういうことです。

再編交付金は地元がひれ伏したらおカネをやるよ、というもので、すごくいやらしい。これまでに例のない卑劣な交付金です。

──福田市長をめぐってはいくつもの訴訟が起きていることも特徴的です。

市政は市民に開かれていて当然ですが、福田市政では実態を隠すことが常態化しています。やむなく裁判に訴えることになった事例がいくつもあります。

その1つが、愛宕山の野球場に関することです。

土地の所有者は住宅供給公社に土地を売ったのですが、その後防衛省に転売され、その土地に米軍の住宅が建ち、野球場などがつくられました。

野球場は日米共同使用、岩国市民も利用できることになっていますが、その実施協定を岩国市は公開しないのです。

神奈川県逗子市でも、米軍施設を市民が共同利用していますが、逗子市は協定書を市民に公開しています。なぜ、岩国市はできないのか、理解できません。実施協定書に何が書いてあるのか。隠された米軍の権利が残っているのか。

私も原告になって、岩国市に対して情報公開を求める裁判をおこしています。

岩国市の情報公開条例は私が市長の時にできました。行政の情報は原則として市民のものです。しかしいまは、情報を隠す条例になっていて、大きな問題です。

岩国市が公開を拒否する理由は1つ。米軍の賛成が得られない、ということだけです。公開したら米軍との信頼関係がこわれるということのようですが、市民より米軍が優先されている形です。

岩国は小さな自治体ですから、財政は厳しいことは理解しているつもりです。しかし、再編交付金は別です。間もなく終わることになってもいます。

山口県内の9つの市町村長はみんな自民党です。ほかの県にはない、全国で唯一の県です。

私は市民と平和を大切にする政治をめざしたい。

基地を大きくして岩国市を発展させることは不可能です。国民の税金が基地につぎ込まれていますが、米軍基地の中の公共事業といっても、地元企業はそこに食い込めない。

若い人が子育てしやすい岩国になることでもない。人口は減っています。いまのようでは、基地は大きくなっても、市民は住みづらくなっていいきます。

私はもっと自立する岩国をめざしたい。(了)

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