まずは、沖縄の歴史と文化を象徴する首里城の再建・復興を願う。忘れてならないのは、「捨て石作戦」の沖縄戦で首里城が米軍の攻撃を受け、消失したことだ。日本軍が首里城の地下に司令部を置いた歴史がある。
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辺野古新基地建設に反対する市民らが10月21日から25日まで、「ストップ辺野古ー連続5日大行動」に取り組んだ。24日、名護市安和の琉球セメント桟橋前の現場に行ってみた。
「ダンプの運転手の日当は4万円」などのスピーチが聞こえてきた。土砂を運搬船に積み込むためのダンプが市民の抗議・抵抗に阻まれて車道に列をなしている。
結局、ダンプは桟橋構内に入ることなく、その場を立ち去った。
警備員の肩越しに、無造作に積まれた赤土が見える。これを政府(沖縄防衛局)は「岩ずり」と称しているが、岩石とは名ばかり。赤土以外の何物でもない。このことを許している玉城県政にも現場の不満は強い。
この日は150人が抗議行動に参加した。シュプレヒコールが続いている。「基地はいらない」「違法工事はやめろ」「税金の無駄遣いをやめろ」・・・
「ストップ辺野古─連続5日大行動」の期間、ダンプは1台も入構できなかった。主催した「集まれ辺野古」の共同代表・奥間正則さんは「大成功だった」と振り返った。
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10月26日土曜日午前8:00。しばらく待って、辺野古のテント前から抗議船「不屈」に乗せてもらった。私のほかには、地元紙沖縄タイムスの記者1人。
造成中のK8護岸に向かった。すでに工事が完了したと言われるK1などの護岸もこのままでは用をなさない。その上にさらに4メートルも護岸を積み上げていかなければ、波から新基地を守ることはできないからだ。工事の進捗率は新基地全体の、まだ1~2%に過ぎないという。人々の抵抗が工事を遅らせている。
違法な埋め立て工事を海上保安庁と警備会社が守っている。抗議船やカヌーで抗議する人々に向かって「ここは臨時制限区域、立ち入り禁止の場所です。直ちに退去してください」と、スピーカーで大声を出した。
すかさず、他の抗議船が反論した。「オイルフェンスが私たちの行動を妨げるものであってはならない。公有水面埋立法に基づく設計では、防衛局自身が海草、藻場を保護するために設置しないと明記している。漁業調整規則違反にもあたる。憲法で保障された表現の自由を妨げるな」
安倍政権が強行する辺野古・大浦湾の埋立ては、公有水面埋立法に基づく政府自身の設計概要にも、漁業調整規則にも違反しているという切り返しである。
カヌーで抗議行動をしている男性と話す機会に恵まれた。彼は那覇市より南の自治体から抗議にきている。子持ちで、家族そろって新基地建設に反対しているという。「政府は県民をあきらめさせようと躍起ですが、この進捗状況では20年はかかります。私たちは絶対にあきらめません」。
私は「その頃には日本を取り巻く安全保障環境は激変しているだろう。すでに変化の兆しはある」と話した。
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県の埋め立て承認撤回を取り消した国土交通相の裁決の取り消しを求めた訴訟で、沖縄県が最高裁へ上告した30日、沖縄県庁前から島ぐるみ会議の貸し切りバスで、辺野古のゲート前に向かった。
この日、ハワイから約20人がハワイ州旗とともにやってきて、抗議する人々を激励した。
一行は、米軍キャンプ・シュワブゲート前のテントで、沖縄民謡「てぃんぐさぬ花」をうたってくれた。「座り込めここへ」で、ハワイの人々もテントに入り込み、大いに盛り上がった。
座り込みの人々を機動隊が排除してから、生コン車は米軍基地内に入っていった。排除されても、人々の抗議は続く。「国民の税金 米国の基地建設に使うな」という赤い文字のプラカードがひときわ目を引いた。
沖縄県の試算では、事業費は2兆5500億円。さらに軟弱地盤の「改良」費などが見込まれ、どこまで国民負担が増大するかわからない。安倍政権は、費用も工期も明らかにしないまま、工事を強行しているのだ。
主権者国民に「ブラックボックス」のまま、巨大な血税をアメリカに捧げることが許されるのか。
帰りのバスは、明るさに満ちていた。この楽天性が辺野古新基地建設反対運動を支えているのだろう。辺野古新基地建設(普天間基地の代替施設)の発端となった日米両政府のSACO(沖縄に関する特別行動委員会)合意から間もなく23年。現場の闘いに支えられて玉城県政も沖縄もある、と改めて思った。