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星英雄:安倍首相の「おもてなし」が映し出す日米同盟関係の実相

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「ポチ」とは、権力者に対して媚びへつらう者をいうが、日本の安倍首相がアメリカのトランプ大統領の「ポチ」とよばれるようになって久しい。その安倍首相が、今度は「おもてなし外交」と称して伝統の大相撲をトランプ大統領に献上した。「こんなこと、江戸の将軍様でもやらなかった」とは大相撲関係者の嘆きである。「おもてなし」から、「日米同盟関係」の実相も見えてくる。

安倍首相がおぜん立てしたトランプ大統領の大相撲観戦は、「そこまでやるか」というほどの、異例の奉仕だった。

トランプ大統領の大相撲観戦は、これまでの天皇やフランスのミッテラン大統領らが貴賓席で楽しんだのとは明らかに違っていた。土俵間近の升席に特設の椅子を据え、安倍首相らと見物した。表彰式では、なんと黒いスリッパをはいて土俵に上がった。大相撲の格式も伝統も、日米両首脳によって踏みにじられたのだ。

大相撲ファンにたいしても、異例の対応だった。とりわけ、入場者にたいする「注意書き」は異常としかいいようがない。「場内で座布団等の物を投げるなどの行為を行った場合は退場の上、処罰されることがあります」として、「二年以下の懲役もしくは三十万円以下の罰金」が課されると、脅している。座布団は大相撲の華ともいうべき、番狂わせに対するファンの行為なのだ。

「おもてなし」という言葉づかいからにじむ、品格や心配りとは真逆の、卑屈な奉仕ぶりだったといっていい。朝日新聞デジタルは、「出方」という場内案内人が「こんなこと、江戸の将軍様でもやらなかった」と批判する声を伝えている。

ところで、辺野古新基地建設こそ安倍首相によるトランプ大統領への最大の貢物であることを忘れるわけにはいかない。

沖縄県は工事費2兆5500億円、工期は最低でも13年かかるとしているが、安倍政権は沖縄の民意「辺野古ノー」を無視して工事を強行している。トランプ大統領に貢物として、辺野古新基地を差し出すためだ。納税者・主権者国民に工費・工期の説明もないというのに。

安倍首相は、米軍普天間基地の移設先は辺野古が「唯一の解決策」と繰り返し主張するが、それは2017年2月、安倍首相とトランプ大統領との最初の日米首脳会談の共同声明に盛り込まれた内容なのだ。

戦勝国アメリカと敗戦国日本の従属的二国間関係は敗戦後74年経っても、変わらない。第2次世界大戦の遺物というべき2国間関係がいまも有効なのは世界では日本だけといっていい。トランプ大統領は2017年11月の初来日には、東京の米軍横田基地から出入りした。米軍横田基地は主権国家としては当然の「日本のチェック」を受けない。トランプ大統領の横田基地利用は盟主国としての、属国に対する振る舞いとしてだった。今回は、羽田空港から出入りしたが、それでも東京のど真ん中にいまだ米軍基地はある。トランプ大統領は東京・六本木の「赤坂プレスセンター」という米軍基地からヘリで、千葉のゴルフ場に飛び立った。

これが、安倍首相が口ぐせのように言う「日米同盟」の内実である。

卑屈なまでの「おもてなし」は、アメリカの強硬な対日貿易要求に対する「その場しのぎ」という見方で、マスコミは一致する。27日の首脳会談後の記者会見で、トランプ大統領は日米貿易交渉について「8月に発表ができると思う」と語ったが、安倍首相はその質問に答えなかった。

両者の間では、決着は参院選後とすることで合意があるとされる。日米貿易交渉の合意を参院選(衆院選)後に先送りすることで安倍首相は、選挙時の農業関係者の離反を食い止め、そのお返しとしての日米合意で、トランプ氏は来年の大統領選でアメリカの農業関係者の支持をつなぎとめることができるというわけだ。大相撲のおもてなしには驚かされたが、安倍政権の農業を犠牲にする日米貿易交渉合意は、主権者国民にとってはその比ではない。

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