沖縄のいま

星英雄:東京の皆さん、全国の皆さん、子どもの命に格差はあるのですか

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子どもたちの頭上を米軍機が飛ぶ。このことに恐怖しない親たちはいるのだろうか。このことに死の危険を感じない人たちはいるのだろうか。事故が相次ぐ米軍普天間基地の近くからやってきた母親らが12月8日、東京・上野公園の入り口で訴えた。「米軍機は子どもたちの上空を飛ばないで」──と。

母親たちを突き動かしているのは、米軍普天間基地から飛び立つ米軍機の恐怖から子どもたちを守りたいという必死の思いだ。昨年12月7日、米軍機の部品が緑ヶ丘保育園を直撃した。あわや子どもたちの命を奪いかねない事故だった。

米軍は、その物体は米軍機の部品であるが落下させてはいない、と理解できない主張をしている。日本の警察、防衛省など政府は、本気で事故原因の解明さえしようとしない。住民の命と人権は保障されない現状を何とか変えたいと、母親らは「チーム緑ヶ丘1207」を結成して活動を続けている。〈星英雄:命の危険と隣り合わせ──保育園の上を米軍機は飛ばないで(投稿日:2018年10月16日 )参照〉

事故1周年の昨12月7日は、外務省、防衛省、警察庁、内閣官房の職員を相手に政府要請行動。母親たちは、保育園上空の飛行禁止を求める署名を提出した。署名はこれまでの合計で13万7141筆になる。しかし1年たっても政府の対応は、米軍の調査待ち。どこの国の政府か。

今日8日は、チーム緑ヶ丘1207の宮城智子会長、与那城千恵美さんと緑ヶ丘保育園の神谷武宏園長が、日本平和委員会など支援団体の人たちといっしょに訴え、街行く人々にチラシを配布した。

神谷武宏園長
緑ヶ丘保育園の上空は米軍の飛行ルートに入っていないのに毎日、ヘリやオスプレイや戦闘機が飛び交っている。東京の皆さん、東京の保育園でそういうことがありますか、許されますか。沖縄なら許されていいんですか。
沖縄の子どもたちと東京の子どもたちに格差はあるんですか。東京も沖縄も子どもたちの命は同じ宝じゃないですか。沖縄の問題は日本の問題だと思います。みんなで声をあげていきましょう。

チーム緑ヶ丘1207会長の宮城智子さん
昨日は、昨年12月7日の事故から1年、2度目の政府要請を行ってきました。1回目の2月には「米軍の調査待ち」一辺倒の回答。今度は少しだけ期待しましたが、同じような答えで驚きました。事故が起きて、基地があることの怖さ、命の危険と隣り合わせにあることに気が付きました。日本は平和だと思っていたが、疑問だらけになりました。国民を守るためにやっているというが、その前に私たちの子供の命が危ぶまれている。この現状がおかしいと思います。

チーム緑ヶ丘1207の与那城千恵美さん
今日は、私の娘、沖縄の子どもたちを助けてください、とお願いにまいりました。娘の保育園の事故を聞いた時、頭が真っ白になり、体が震えて涙が止まりませんでした。その時はじめて、この環境がとても危険なことに気づきました。子どもたちを守るためにみんなで声をあげようときめました。ですが政府は事故の原因究明も保育園の飛行ルートについても、いっさいやっていないことがわかりました。沖縄だけの問題にしないでください。みんなで子どもたちを守ってください。

米軍機による緑ヶ丘保育園の事故は、20歳の女性が嘉手納基地の米軍属に殺された事件、辺野古新基地建設の問題などとともに米軍基地こそ命と人権を脅かす根源であることを浮き彫りにする。

人間の命と人権、人間の尊厳を奪うことが常態化している沖縄の現実は、日本の安全保障政策、日米安保体制を根本から問い直さずにはおかない。

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