安倍政権は権力の座にあれば何をやっても構わないという考えなのか。相手が沖縄であれば、選挙で示された民意を踏みにじってもよいというのか。辺野古新基地建設を強行するためには手段をえらばない、独裁者のような振る舞いではないか。
防衛省は17日、行政不服審査法に基づいて、石井国土交通相に対し埋立承認撤回の効力停止を申し立てた。行政不服審査法の立法の精神もなんのその。手段を選ばない、とはこのことだ。
2015年に県が埋め立て承認を取り消した時も、安倍政権は同じやり方で沖縄の民意を踏みにじったが、行政法学者ら専門家は「不公正であり、法治国家にもとるものといわざるを得ない」と厳しく批判した。
そもそも行政不服審査法は、強大な公権力から国民の権利利益を救済することが目的で、政府や自治体を救済するために立法されたのではない。同法第1条はこういう。「この法律は・・・国民の権利利益の救済を図るとともに、行政の適正な運営を確保することを目的とする」。行政不服審査法の意図は明らかではないか。
安倍政権内の防衛省が「訴え」、同じ安倍政権内の国交相が「裁く」ことができるならまさに「法治国家にもとる」ものであり、これは独裁というしかない。沖縄県の玉城知事が「自作自演」と批判したのは当然だ。
安倍政権は10月にも土砂投入をして、新基地建設を強行推進するために、行政不服審査法を利用したのだ。安倍政権の横暴を止めなければならない。
辺野古新基地建設には1兆円ともそれ以上ともいわれる巨額の血税が投入される。200年の耐用年数、オスプレイ100機体制の新基地だ。住民の命も人権も保障されない。安倍首相はトランプ米大統領に貢物として差し出す。敗戦後70年以上も経てなお、そうしなければならない理由の説明はない。
朝日新聞社の最近の世論調査では、米軍普天間基地の名護市辺野古への移設について、安倍政権が移設方針を「見直す必要がある」は55%、「その必要はない」は30%だった。国民世論も「辺野古新基地ノー」に傾いている。
沖縄県知事選では、県政の主人公である県民が「辺野古新基地ノー」の審判を下した。次は沖縄以外に暮らすわれわれの番だ。自民党支持者も公明党支持者も、法を踏みにじり、独裁者のようにふるまう安倍政権の横暴を許すな。われわれは日本国憲法が定める主権者なのだ。