沖縄のいま

本田博利:土砂が投入されると原状回復は不可能だ

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〈昨日に続き、16日の沖縄県庁・県民広場での専門家の講演をお届けする。行政法の専門家、本田博利・元愛媛大学教授は米軍基地問題に詳しいことでも知られる。土砂が投入されれば「事情判決」の可能性があるという〉

本田博利・元愛媛大学教授の講演から

岩国の基地関係をずっと、10年やっている。米軍岩国基地は朝鮮半島に一番近い基地。米軍再編の2本柱は、厚木の艦載機を岩国にもってくること、そして普天間基地の辺野古への移設。どちらも、たらい回しだ。

〈左が本田博利さん=撮影・平井茂〉

〈事情判決について〉
埋め立てがたとえ違法だとしても今からひっくり返すわけにはいかないよね、と。市場の再開発の場合、再開発の土地の利用は間違いだ、元のみんなの地権者に戻せなんていっても、再開発でビルができたら、もう元に戻せとはいえなくなる。

いまだったら、(辺野古に)護岸はできているが、石を持って帰れという判決が出たら、業者も喜んでそうするだろう。

しかし、土砂投入で砂が混じってしまったら、原状回復は無理だ。裁判で事情判決が出て、後の祭りになる。土砂投入前のいまなら原状回復は可能だ、今が正念場だ。

〈埋立承認の撤回と争い方〉
いますぐ撤回したら、工事は1週間で再開するとか、裁判も半年待たずに判決が出るとか、平気で言っている人がいる。マスコミも県民投票論者も、政府もそういっている。裁判で勝てる、最高裁判決がある、とか。しかし(今回の撤回に)最高裁判決は関係ない。

要は、どういう争い方をするのか。前は、地方自治法に基づいて違法確認訴訟、その前の代執行。国と県との間で事務が間違ってるから直せ、従わないから裁判所に訴える、その前に国・地方係争処理委員会。それをまたやるのか。

県は取り消し訴訟です。公有水面埋立法の留意事項に違反している、それで違反に対して言い分があったら聴聞でききましょう。だから場合によっては前回と同じように、国はもう1回審査請求という前回の甘い汁を吸うかも。どういう争いをするのか、どういう止め方をするか、はっきりいって、マスコミも県民投票論者もなにもいわない。

行政事件の争い方はいくつもある。取り消し訴訟は半年で済まないだろう。裁判の争い方も、地裁から始まるか、高裁からはじまるか・・・。

裁判には幻想も期待も持ってはいけないと思うが、県は正々堂々と受けて立てばいいのだ。

知事は待てど暮らせど撤回しない。権限を発動すべきところを発動しないなら、知事にたいしてきちんと権限を発動しなさいと、訴訟を起こしてもいいと思う。

〈撮影・平井茂〉

裁判だけが闘争ではない。現地の闘いと、ともに闘っていく姿勢です。

 

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